スペインの白ワインの特徴 ここにしかない独特の風味や酸味の強さ
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スペインの白ワインの特徴
灼熱の夏が生み出す甘口白ワインと高アルコールワイン
夏の気温が非常に高くなるスペインでは、甘口のものやアルコール度数高めの白ワインが多いのが特徴のひとつとなっています。
スペインは緯度が低いので日照時間が長く、夏は基本的に降水がほとんどない高温乾燥状態になります。
そのため、ブドウの完熟度が上がって糖分がたくさん蓄えられ、しかも果汁が濃縮されて糖度も高まります。
アルコール発酵は酵母が糖を分解してアルコールと二酸化炭素にする反応なので、糖がたくさんあるほどアルコール度数を高くしやすくなり、分解しきれずに残る糖分が多ければ甘口に仕上がるというわけです。
近年では甘口より辛口の需要が高まっていることや、栽培・醸造方法で調整できるようになっていることから甘口や無闇な高アルコールワインは減少していますが、現在でも伝統として受け継いでいる産地も残っています。
- ブドウの育つ環境(テロワール)がワインに与える影響について詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:テロワールって何のこと?
大航海時代に大ヒットした酒精強化ワイン
スペイン南部のアンダルシア州を中心に造られる酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)も、スペインの白ワインを特徴付けるポイントのひとつです。
酒精強化ワインとは、ワインの発酵中や熟成中にアルコール度数の高い蒸留酒を加えて、酵母の働きを調整したりアルコールを強化したワインのこと。
大航海時代に、船に積んで長期間航海しても劣化しにくいワインとして利用されたため、港の近くや主要な航路付近にある地域で多く生産されるようになりました。
スペインの場合は、発酵が終わった後に蒸留酒を加える「シェリー」と呼ばれるタイプの酒精強化ワインが造られており、これは全て白ワインです。
独特の香りをもち基本的に辛口のシェリーは、普通の白ワイン(スティルワイン)とはちょっと違いますが、地理的な条件や歴史に基づいたスペインならではの味わいといえるでしょう。
- スペインの酒精強化ワイン「シェリー」について詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:スペインの「シェリー」ってどんなワイン?
地域によって性質が大きく変わる
広大な国土を持つスペインの白ワインは、その産地によって特徴が大きく異なります。
地中海と大西洋に面し、海岸線から遠く離れた平地や山岳地、丘陵地帯など様々な地形を持つスペインでは、地域ごとに気候や地質などの環境条件(テロワール)がまったく違っています。
そして、環境の影響を受けやすいブドウ、そしてワインの性質も、それに合わせて実に多様なバリエーションがあります。
例えば、高温乾燥気味なスペインで例外的に低温多湿な大西洋側地域では、繊細で柔らかい白ワインが造られていますし、広大な畑が広がる乾燥したラ・マンチャ地方ではすっきりと飲みやすいタイプの白ワインが大量に生産されています。
特に醸造技術や設備が発達した近年では、高品質なもの、カジュアルなもの、早飲み系から長期熟成型まで様々なタイプが存在するので、「スペインの白ワイン」というだけではどんなワインか推測しにくいほど。
飲んでみて気に入ったワインは、産地や使用しているブドウなどをチェックしておいたほうが良いかもしれません。
スペインの白ワインに使用されるブドウ品種
アルバリーニョ(Alvarinho)
主にスペイン北西部の大西洋側地域で栽培されている白ブドウ品種です。
スペインの中では例外的な低温多湿な産地の特徴を反映し、繊細で複雑な味わいとバランスの取れた酸味、印象的な香りを持っています。
そのため、高級な品種として高額で取引されており、このブドウを原料とする白ワインも比較的高価なものが多くなっています。
- おすすめワイン
- ・ボデーガス・マルティン・コダックス マリエッタ アルバリーニョ(Bodegas Martin Codax Marieta Albarino)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・フォルハス・デル・サルネス レイラーナ・アルバリーニョ(Bodegas Forjas del Salnes Leirana albarino)
アイレン(Airén)
スペインで最も多く栽培されている白ブドウ品種です。
苛酷な環境でも育てやすいため、夏の降雨が極端に少ない内陸部でも栽培されていますが、味や香りは平凡で高品質なワインには向きません。
そのため、主に早飲み系のカジュアルな白ワイン、もしくはブランデー用の原料として使用されています。
- おすすめワイン
- ・ヴィーニャ・ラストラ アイレン(Vina Lastra Airen)
- ・ガルシア・カリオン アイレン 3リットル 紙パック(Garcia Carrion Airen 3L)
マカベオ(Macabeo)
スペインの高級スパークリングワイン「カバ」の原料として知られるブドウです。
豊かでバリエーション豊かな香りと深い味わいが特徴で、酸化に強いため樽熟成によってコクを増すこともできます。
カジュアルなお手頃ワインから高級ワインまで、様々なタイプの白ワインの原料として使用されています。
一部の産地では「ビウラ」の別名で呼ばれることもあります。
- カバをはじめとする高品質スパークリングワインについて詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:シャンパンってスパークリングワインとどう違うの?
- おすすめワイン
- ・コドーニュ クラシコ カバ セコ(Codorníu Clasico Cava Seco)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・テンテヌブロ・ブランコ(Tentenublo Blanco)
ベルデホ(Verdejo)
近年、スペイン国内で急激に人気が高まっている白ブドウです。
厳しい環境にも耐える適応力の高さが特徴で、昼夜の寒暖差や乾燥が厳しい地域ほど味わいや香りが豊かになります。
その特性や品質の高さから、カスティーリャ・イ・レオン州のルエダを中心に各地で栽培面積が広がっています。
- おすすめワイン
- ・シンコ・ガトス ベルデホ(Cinco Gatos Verdejo)