シャンパンってどんなワイン? 造り方や産地、味の特徴まで
記事の目次
シャンパン(シャンパーニュ)とは
シャンパン(シャンパーニュ)は、フランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインです。
原料の種類や栽培地、造り方、熟成方法や期間などが細かく規定されていて、世界的にももっとも高品質で高級なワインの一つとして知られています。
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シャンパンの造り方と特徴
産地の特徴を反映する品種で真似できない味を作る
シャンパンに使用できるブドウ品種は、白ブドウのシャルドネと、黒ブドウのピノ・ノワールをはじめとする「ピノ系」のうち数種類と定められています。
これはどれも、育った土地や気候条件など、産地の特徴を非常に厳密に反映する品種です。
シャンパーニュ地方はもともと、酸味や香りの際立つ白ワインを造るのに適した地域ですが、その強みを最大限に生かせるブドウを使っていると言えます。
複数の原酒をブレンドして絶妙な香りを生み出す
シャンパンの最大の特徴は「香り」です。
シャンパン造りには、ブドウ果汁をアルコール発酵させた状態の「原酒ワイン」を多数使用します。
一般的なワイン造りでは、ブレンドすると言ってもいくつかの異なるブドウ品種で行うくらいですが、シャンパンの場合は異なる品種のブレンドはもちろん、異なる畑、異なる生産者、さらには異なる年の(寝かせておいた)原酒まで使用します。
これによって非常に細かい調整を行うことができ、複雑で絶妙なバランスの香りを生み出すことができるのです。
ちなみに、異なる複数の年度の原酒(ブドウ)が原料になるので、シャンパンは基本的にブドウの収穫年度(ヴィンテージ)を表示しません。
瓶内二次発酵で強い炭酸と繊細な味わいに
シャンパンの炭酸ガスは、瓶に詰めた後の2回目の発酵によって生み出されます。
ブドウ果汁をアルコール発酵させるときにも炭酸ガスは発生しますが、これを利用すると弱い炭酸になり、原酒のブレンドもできません。
そのため、アルコール発酵が終わった後に酵母と糖分を追加し、「二酸化炭素を発生させる目的の発酵」を行うのです。
シャンパンの場合はこれを個別の瓶に詰めた状態で行うため、タンクでまとめて発酵させるスパークリングワインに比べて複雑で繊細な味わいになります。
赤・白ブレンドで造られるロゼ・シャンパーニュ
シャンパンのロゼは、赤の原酒ワインと白の原酒ワインをブレンドして造ります。
ヨーロッパのワイン法では、基本的に赤と白のブレンドは許可されておらず、一般的なロゼワインは味や香りの微調整がしづらい手法を取らざるを得ません。
しかし、いろいろな原酒をブレンドして造ることが大きな特徴となっているシャンパンでは、例外的に赤・白の原酒を使ったロゼ造りをすることが許されています。
そのため、味や香りのバランスが優れているのはもちろん、ごく微妙な色合いの調整も可能で、(発酵後の原酒をブレンドするので)発酵による変色などの恐れもほとんどありません。
素晴らしい香味に加えて非常に美しいピンクの色合いを楽しめるのは、ロゼ・シャンパーニュならではの特徴といえるのです。
シャンパンの味
シャンパンは、二次発酵中に発生する滓(おり/役目を終えた酵母やポリフェノールなどが固まった浮遊物)や長期間の熟成の影響で、深いコクを持ったスパークリングワインになります。
シャンパンの原料には黒ブドウも使用されますが、造られるのは白かロゼに限られている(赤のシャンパンは存在しない)ため、原酒の状態までは一般的な白ワインのように比較的すっきりとした味わいになっています。
しかし、その後の二次発酵は直接瓶の中で行うため、発酵中に発生する大量の滓と長期間触れあい、多くの旨みがワインへと移ります。
また、発酵が終わったあとも最低15ヶ月、長ければ数年にも渡って熟成が行われ、複雑な味わいと深いコクが生まれるのです。
シャンパンの香り
シャンパンはボトルによって様々な香りのものがありますが、一般的には花やフルーツのような華やかな香り、スパイスや皮、木に例えられる複雑な香り、そして焼きたてのパンやバターを思わせる香ばしい香りを持っています。
シャンパンの原料となるシャルドネやピノ・ノワールは、もともと華やかな香りを特徴とする品種のブドウです。
これを品種に非常に適した環境の中で育て、しかも熟練の職人が複数の原酒をブレンドすることで、フルーティな華やかさを極限まで高めています。
また、瓶内二次発酵中に酵母や滓と長期間接触していることで、ブリオッシュ(バターたっぷりのパン)のような「発酵香」や、スパイスのような複雑な香りを持つようになるのです。
シャンパンの色
白のシャンパンは澄んだレモンイエローから深みのあるゴールドイエロー、ロゼのシャンパンは美しいライトピンクからゴージャスなローズピンクまで、生産者の造りたいイメージごとに異なります。
特にロゼは、他のワインと異なり「アルコール発酵後の白と赤の原酒ワインをブレンドする」という手法が許可されているため微妙な色の調整が可能で、非常にうつくしい色合いを持つものが少なくありません。
この美しい液体の中を細かな気泡がきらきらと立ち上っていく姿は、いつまでも飲まずに眺めていたくなってしまうほど。
シャンパンを飲む際には、ぜひこの色を十分楽しめるグラスと照明を選んでみてください。
初心者におすすめのシャンパン
最初はお手頃な価格のものから始めてもOK
シャンパンは上を見れば際限が無いほど高級なスパークリングワインですが、なにも最初からどきどきするほど高価なものを選ぶ必要はありません。
近年では醸造技術や設備が発達したことで、良質なのにお手頃な価格のシャンパンも増えてきています。
また、大規模な施設を使用して生産する大手のメーカー(メゾン)の製品も、品質に比べると求めやすいものが多いようです。
「モエ・エ・シャンドン」などのよく目にするブランドのものや、ラベルの隅のほうに小さく「NM」という記号のあるものから探してみましょう。
- おすすめワイン
- ・ヴーヴ・デュ・ベレー ブリュット シャンパーニュ(Veuve de Bellay Brut Champagne)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・モエ・エ・シャンドン ブリュット アンペリアル(Moet et Chandon Brut Imperial)
高価なシャンパンで驚きの体験を
しかし、特別な感動を味わいたいのであれば、やはりちょっと高価なボトルを試してみるのが一番良いでしょう。
高ければおいしい、というわけではないのがワインの難しいところですが、少なくとも原料のブドウの品質や手間のかけ方は安価なものよりも上になります。
ブレンドや熟成など、一般的なワインよりも手をかけるポイントの多いシャンパンについては、価格に合わせて品質も上がる可能性が高く、驚くほど良質なボトルに出会えることも少なくありません。
選ぶ際に気を付けたいのは、オークションサイトや転売サイトなどで購入しないこと。
高価なワインを割安で見かけることもありますが、知識がないと逆に高額な買い物になる可能性もありますし、複数の所有者を経たワインは劣化などのリスクも出てきます。
特に初心者のうちは、ピンポイントで欲しいボトルがあるなどの事情がない限り、専門店などの正規ルートで購入したほうが確実だと言えるでしょう。
- おすすめワイン
- ・スゴンデ・シモン ブリュット グラン・クリュ キュヴェ N(Secondé Simon Brut Grand Cru Cuvee N)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・シモン・セロス ブラン・ド・ブラン キュヴェ プレステージ グラン・クリュ(Simon Selosse Blanc de Blancs Brut Cuvée Prestige Grand Cru)
価格に折り合いがつかないなら小さいボトルをチェック
高品質なシャンパン、有名な銘柄を飲んでみたいけど、高額過ぎて手が出ない…と悩んでいる方は、小さいボトルの製品を探して見ましょう。
シャンパンはもともとがかなり高価なので、一般的にも良く見るハーフサイズ(375ml)や、さらに小さいピッコロサイズ(200ml)などの、少量のボトルでも販売されているケースが多くなっています。
もちろんフルボトルに比べるとやや割高にはなりますが、無理をしない価格でハイクラスのシャンパンを試すことができますよ。
- おすすめワイン
- ・モエ エ シャンドン ブリュット アンペリアル ピッコロ(Moet&Chandon Brut Imperial Piccolo)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・ビルカール・サルモン ブリュット レゼルヴ ハーフボトル(Billecart Salmon Brut Reserve Halfbottle)
独特の造り方をするロゼは試す価値あり
シャンパンを試す上で見逃せないのが「ロゼ・シャンパーニュ」です。
一般的なロゼワインは、普通のワイン(スティルワイン)でもスパークリングワインでも、赤ワインと白ワインの混合で造ることは許可されていません。
しかし、シャンパンの場合だけは例外的にそれが許されるため、色や香り、味わいが絶妙なバランスを持つ製品が少なくないのです。
「瑞々しい酸味と濃い旨み」というような、赤・白それぞれの良いとこ取りの風味を持つロゼワインは、シャンパンならではの特徴だといえるでしょう。
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・ボジェ・ジュエット ロゼ ブリュット(Bauget Jouette Brut Rose)