ワインとビールを比べてみよう ワインとビールが仲間って本当?
記事の目次
どちらもアルコール発酵させてそのまま飲む「醸造酒」
ワインとビールは、どちらも「アルコール発酵させた液体をそのまま飲む」タイプのお酒、つまり「醸造酒」であるという共通点があります。
醸造酒は、沸騰・濃縮を行う「蒸留酒」よりもアルコール度数が低く、原料の味や香り、栄養素などを多く残すお酒です。
日本で代表的なもので言うと、他に日本酒も同じカテゴリーにはいります。
ワインとビールのカロリー比較
副原料や含まれる糖分量などによって例外はありますが、基本的に同量のワインとビールだと、ワインのほうが高カロリーになっています。
ワインが100mlあたり平均75kcalなのに対し、ビールは100mlあたり40kcalしかありません。
これは、どちらも含有カロリーの大半をアルコールに由来する部分が占めており、ビールのほうがワインよりもアルコール度数が低いからです。
しかし、だからといって「ワインはビールより太りやすい」とは言えません。
ワインは通常、グラス1杯が125ml程度とされており、ひと口ずつゆっくりと味わいながら飲むのが普通です。
一方、ビールはグラスやジョッキになみなみと注ぎ、味わうというより喉に流し込むようにして飲みます。
アルコール摂取量を揃えて比較してもビールのほうがカロリーが上ですが、飲むスピードが速いと酔いを感じるまでに飲む量も増えるため、結果的に一度の飲酒で摂取するカロリーはビールのほうがかなり多くなるのです。
(ドイツやチェコのビールのようにちびちびと楽しむタイプも存在しますが、こちらはアルコールや糖分の含有量も多くなるため、カロリーもアップします)
お酒はそもそもダイエット向きの飲み物ではありませんが、どうしても飲みたいのであればビールよりもワインの方が太りにくいと言えるでしょう。
ワインとビールの生産量・消費量比較
世界的に見ると、ワインよりもビールの方がかなり多く生産されています。
2016年度のワインの生産量は、全世界で約2595万キロリットル。
それに対しビールの生産量は、なんとワインの7倍以上の約1億9092万キロリットルにもなるのです!
これは、ビールの方が平均単価が安く日常的に消費される飲み物であることや、原料である大麦・小麦などの生産がブドウよりも容易である(栽培可能地域が広い)ことが関係しています。
また、ビールは麦をお湯で煮出しそこにホップなどの副原料を加えて造るので、原則ブドウ果汁だけを原料とするワインよりも味や香りの調整がききやすく、原料の品質をワインほど気にしなくてよいというのも大きいでしょう。
ワインとビールの賞味期限比較
賞味期限の長さについては、ワインの方がビールを圧倒しています。
タイプにもよりますが、ワインは密閉状態であればかなり長い期間風味を損なわずに保管することが可能で、数年~十数年、長いものだと何十年もの間熟成を続けることができます。
それに対して、ビールをおいしく飲める期間はかなり短く、ごく一部の例外を除いて1年前後、短いものだと半年もしないうちに劣化が進んでしまいます。
(日本のメーカーの場合は、平均9ヶ月程度に設定されているものが多いようです)
ワインはタンニンなど抗酸化効果のあるポリフェノールを多く含み、味わいについても酸味が重要な役割を持っているお酒です。
一方ビールは(ホップによって補っているとはいえ)非常に酸化しやすく、ワインなら問題ないレベルの期間でも大きく劣化してしまうのです。
ただし、ワインも一度開栓してしまうと一気に酸化が進むため、遅くとも数日以内には飲みきる必要があります。
ワインは「貴族のお酒」でビールは「庶民のお酒」?
歴史的に、ワインは貴族や富裕層などの支配階級が飲むお酒、ビールは労働者を中心とした庶民が飲むお酒とされてきました。
これは、ワインがキリスト教という、ヨーロッパ全体の権力と強く結びついた宗教にとって重要な飲み物だったことや、原料(ワインはブドウ、ビールは大麦など)の育てやすさの差など、多くの理由が重なった結果といわれています。
現代では、宗教と政治の結びつきが弱まったことや、どちらのお酒も日常的に飲まれるようになったことから、こうしたイメージの差はほとんどなくなりましたが、その痕跡は文化的な背景や価格(特に高級な銘柄)の差としていまだに残っています。