甘口スパークリングワインとは 「甘口」ってそもそもなぜ甘いの?
記事の目次
甘口スパークリングワインとは
甘口スパークリングワインとは、読んで字のごとく「甘く感じるスパークリングワイン」のことです。
もちろん、なんとなく分類しているわけではなく、販売されている状態で一定の糖度以上のものを指します。(どれくらいから甘口に分類されるかは国や地域によって若干異なります)
反対語は「辛口スパークリングワイン」です。
糖分を多く含むため、辛口と違って食前酒や食中酒にはなりづらく、どちらかというと食後に、もしくは単独で楽しまれるのが一般的です。
甘口スパークリングワインの造り方
甘口のワインは、「もともと果汁の状態で持っていた糖分を残して発酵させる」か「発酵したあとに糖分を追加する」という方法で造りますが、スパークリングワインの場合は基本的に後者になります。
これはスパークリングワインが、通常のアルコール発酵に加えて、二酸化炭素を発生させる「二次発酵」を行うからです。
「発酵」とは酵母菌が糖をアルコールと二酸化炭素に分解することです。
2回分の発酵を行える糖分を最初から持ったブドウ果汁を作るのは至難の業ですし、あったとしても酵母が殺菌されてしまってうまく発酵できません。
そのため、全ての発酵と熟成が終わった後、出荷の直前に糖分を加えて甘さを調整するのです。
なお、一回しか発酵を行わない普通のワイン(スティルワイン)の場合、発酵後の糖分の追加は禁止されているのが一般的です。
甘口スパークリングワインの見分け方
ひと言で「甘口」と言っても、含まれている糖分の量は銘柄によって様々です。
幸い、スパークリングワインの場合は「どれくらい甘口か」を示す表示がラベルに書かれていますので、選ぶときの目安にしてください。
ちなみに、一般的なコーラの糖分量は一リットル当たり110g前後、ジンジャーエールの糖分量は一リットル当たり80g前後です。
中甘口
含まれる糖分量が、一リットル当たり17g以上32g未満のものです。
ラベルには「Dry(ドライ)」「Trocken(トロッケン)」「Seco(セッコ)」「Sec(セック)」などの表示があります。
甘口に分類される中では一番糖分の含有量が少なく、酸味とのバランスによっては食前酒として飲めるレベルのものも少なくありません。
甘口
含まれる糖分量が、一リットル当たり32g以上50g未満のものです。
ラベルには「Demi Sec(ドゥミ・セック)」「Halbtrocken(ハルプトロッケン)」「Semi Seco(セミ・セッコ)」「Half Sweet(ハーフ・スウィート)」などの表示があります。
ここまでくるとかなり甘いタイプが多く、食事と一緒に楽しむのは難しいかも。
つまみ程度のスナックなどとともにそのまま飲んだり、変わったところではクラッシュアイスに注いでジュースのように飲んでもおいしいですよ。
極甘口
含まれる糖分量が、一リットル当たり50g以上のものです。
ラベルには「Doux(ドゥー)」「Dolce(ドルチェ)」「Sweet(スウィート)」などの表示があります。
もうお酒というより完全に炭酸ジュースのような甘さで、デザートとして楽しまれることが多いレベルです。
甘いのが苦手な方にはちょっと飲みづらく感じる可能性もあるので、選ぶ際には注意しましょう。
甘さのカテゴリー | 甘さの表示 | ワインの特徴 | |
---|---|---|---|
中甘口 | Dry(ドライ) Trocken(トロッケン) Seco(セッコ) Sec(セック)など |
甘口のカテゴリーの中ではもっとも甘さ控えめ。 酸味や炭酸とのバランスによっては、食中酒として楽しめるものも。 |
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甘口 | Demi Sec(ドゥミ・セック) Halbtrocken(ハルプトロッケン) Semi Seco(セミ・セッコ) Half Sweet(ハーフ・スウィート)など |
しっかりした甘さが特徴。 ワイン単独で楽しむほか、氷を入れたグラスでジュースのように飲んでもおいしい。 |
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極甘口 | Doux(ドゥー) Dolce(ドルチェ) Sweet(スウィート)など |
甘いものが苦手な人にはあまりおすすめできない程の甘さ。 食後酒、デザートとして。 |
甘口スパークリングワインのおいしい飲み方
飲む前も飲んでいる間も辛口以上によく冷やす
開栓する前はもちろん、飲んでいる最中も氷を浮かべた水(ワインクーラー)などを使って良く冷えた状態をキープしましょう。
人の味覚は温度によって感じ方が変わり、温度が上がるほど甘味を感じやすくなります。
しっかり冷えた状態でバランスが取れている甘口ワインは、ちょっと温くなるとすぐにバランスが崩れて甘ったるく感じるようになってしまいます。
甘口は辛口よりも飲むのに時間がかかりがちですので、一度で注ぎきれなければその都度再栓して冷蔵庫やワインクーラーへ戻すようにしましょう。
開栓したらできるだけ早めに飲みきる
スパークリングワインは炭酸の強さも計算して味わいのバランスを決めていますので、炭酸が抜けてしまうほど置いておくのはやめましょう。
特に甘口は、炭酸の刺激や酸味で甘さを感じにくくさせているものが少なくありません。
炭酸の抜けたコーラなどがどんな味になるかをイメージすれば、それが味わいにとっていかに重要かがわかりますね。
ボトルはこまめに再栓し、グラスに注いだあとはあまり時間をかけずに飲みきるようにしましょう。
食前よりも食後に楽しむ
甘口スパークリングワインは、食前酒や食中酒というより食後に楽しむのがおすすめです。
甘い飲み物は満腹中枢を刺激し、空腹感を減衰させてしまいます。
中甘口くらいならともかく、しっかりと糖分の入った甘口や極甘口を食事とあわせるのは、ジュースを飲みながらおいしく食事を取るのと同じくらい難易度が高いのです。
食事とワイン、どちらもおいしく楽しむのであれば、甘口ワインは食後にとっておくのが無難といえます。
おすすめ甘口スパークリングワイン
食事中でも楽しみやすい中甘口
比較的甘さが穏やかな中甘口は、食中酒としても楽しめる銘柄が多い飲みやすい甘口です。
ワインやお酒自体をあまり飲まない、という人でも飲みやすく、でもちゃんとお酒らしい(ジュースっぽくない)というバランスの良さから辛口(Brut/ブリュット)に次いで良く選ばれています。
国産やお手頃価格の製品も多く、コンビニやスーパーなどでも見つけやすい分類だといえるでしょう。
- おすすめワイン
- ・ガスパール・エ・リサ スパークリング ロゼ セック(Gaspard et Lisa Sparkling Rosé Sec)
- ・コヴィデス ゼニウス スパークリング セッコ(Covides Xenius Sparkling Seco)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・シャンパーニュ ジャニソン・バラドン セック(Champagne Janisson-Baradon Sec)
しっかりとした甘さを楽しめる甘口
あえて十分な甘さを味わえるように調整してある甘口スパークリングは、「じっくり楽しめる甘口」です。
このクラスはシャンパンやカバなど高品質なスパークリングワインに多く見られ、甘いながらも上品なバランスに仕上がっているものが少なくありません。
しっかりとした濃さをもつため、ロックアイスやクラッシュアイスをグラスにたっぷりと入れ、時間と共に変化する味わいを楽しむのも良いでしょう。
- おすすめワイン
- ・ダイデスハイム ゼクト ハルプトロッケン ハーフサイズ(Deidesheim Riesling Sekt halbtrocken Halfsize)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・フェッラーリ・ドゥミ・セック(Ferarri Demi Sec)
こだわりのおいしさでデザート代わりにもなる極甘口
コーラなどの炭酸ジュースに匹敵する甘さを持つ極甘口スパークリングは、デザートにも最適なお酒です。
ここまで来ると味わいのバランスを崩さないようにするのがなかなか難しく、近年の辛口が好まれる傾向もあって造られている量はあまり多くないようです。
しかし、その分いまでも生産されている銘柄はこだわりを持って造られているものが多く、甘さに負けないしっかりした果実味と酸味のバランスを楽しめる、高品質な果汁ジュースのようなものも少なくありません。
甘くても大丈夫、むしろ甘いほうが好き!という方は、好みの銘柄を探して見るのも良いかもしれません。
- おすすめワイン
- ・チェヴィコ グランディ コルディス マルヴァジア ドルチェ フリッツァンテ(Cevico Grandi Cordis Malvasia Dolce Frizzante)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・マルヴァジア・スプマンテ・ドルチェ(Malvasia Spumante Dolce)
赤の甘口スパークリング・ランブルスコ
白やロゼが多いスパークリングワインの中で、異色の「赤」甘口スパークリングです。
中甘口~甘口くらいの、軽くて甘くて飲みやすいタイプのものが多く、20世紀にはアメリカで「レッドコーク」として大流行したこともありました。
その頃はどちらかというと品質はあまり高くない、カジュアルな早飲み系が主流だったようですが、今世紀に入ってからは高品質な銘柄も増えてきています。
最近はランブルスコなのに辛口、という製品も造られているようなので、選ぶ際には一応甘さの表示を確認しましょう。
- おすすめワイン
- ・クエルチオーリ レッジアーノ ランブルスコ セッコ(Quercioli Reggiano Lambrusco Secco)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・ランブルスコ ディ モデナ スプマンテ(Lanbrusco Di Modena Spumante)