ワインの基礎知識

ペットボトルのワインってどうなの? 安い・割れない・重くない、けど・・・

夜景と赤ワイン
記事の目次

スーパーやコンビニなどでよく見かけるようになってきた「ペットボトル容器のワイン」。ガラス瓶に比べるとなんだか頼りなく思えてしまうのですが、実際のところ適性や品質的にはどうなのでしょうか。

ペットボトルワインとは

ペットボトルワインとは、その名の通りペットボトル容器で販売されているワインのことです。

ガラスボトルに対して軽くて割れにくいなどメリットもありますが、酸素の透過率が高く劣化が進みやすいとしてあまり利用されてきませんでした。

しかし、今世紀に入って日本のメーカーがガラス瓶並みに酸素を通さないペットボトルを開発。

現在では主に低価格帯ワインを中心に導入が進んでいます。

ガラス瓶を模した形状のフルボトルサイズ(750ml)か日本酒の四合瓶サイズ(720ml)が主流ですが、手頃なミニサイズ(200ml、375ml、500mlなど)や、軽さを生かした大容量サイズ(1800ml、2700mlなど)も販売されています。

進化していたワイン用ペットボトル

現在ワインに使用されているペットボトルは、基本的に酸素の透過率を下げた酒類用の特製ボトルになっています。

これは今世紀に入ってから、日本のメーカーによって開発されました。

従来のペットボトルは酸素の透過率が高く、ボトルに触れている全面でゆっくりと酸化が進んでしまうため、酸化しやすいワインに対しては利用できませんでした。

しかし、新しく酒類用として開発されたペットボトルは、通常のボトルの内側に薄い炭素の膜を張り付けることで酸素透過率を下げており、少なくとも1~2年の短期間で見ればガラス瓶とほぼ同等の気密状態を維持できます。

安全性も高くコストや破損リスクも下げられるため、主に低価格帯のワインを中心にじわじわと導入が進んでいます。

ペットボトルワインのメリット

ガラス瓶よりも軽い

ペットボトルはガラス瓶よりもかなり軽量です。

ガラス製のボトルの重量は、製品にもよりますがおおよそ300~400g前後。

それに対して、ワイン用のペットボトルは20~30gしかありません。

実際に手にとってみると、その差は歴然です。

これだけ軽量なので、あまり腕力のない人でもさほど重さの心配をせずに購入することができます。

また、グラスに注ぐときに重すぎて手元が狂う心配も少なくなります。

衝撃を受けても割れにくい

ペットボトルはガラスに比べて耐衝撃性に優れます。

もちろん、高いところから固い床に落としても絶対大丈夫、というわけではありませんが、ガラス瓶よりはかなり扱いやすいはずです。

また、万が一破損しても鋭利な破片が飛び散ることがないため、小さなお子さんやペットがいるご家庭でも安心です。

ペットボトルとして廃棄できる

当然ながら、飲んだ後はペットボトルとして破棄することができます。

清涼飲料水などが入っているペットボトルと原料は同じですし、内側のコーティングもリサイクルを妨げない素材と構造になっているとのこと。

ガラス瓶と違って、飲みきってしまえば一本あたりの重量も非常に軽くなるので、たくさん溜まってしまっても捨てやすいのもメリットといえます。

ペットボトルワインのデメリット

長期の保存には向かない

改良されたペットボトル容器でも、やはりガラス瓶に比べると保存しておける期間は短くなります。

ペットボトルはもともと紫外線などによる劣化を起こす素材で、何年も高いパフォーマンスを保っておくことができません。

ガラスのボトルは、よほど劣悪な環境になければ何十年でももつのに対して、ペットボトルは長くて数年しかもたないのです。

そのため、酸素の透過を防ぐ皮膜も1~2年の間に飲むことを前提とした造りになっていますし、そもそもペットボトルで販売されている製品はほぼ全て低価格の早飲み系だけです。購入後にじっくり熟成させて楽しみたい方には、ペットボトル入りのワインは不向きだといえるでしょう。

安くて低品質なイメージがついている

ワイン容器へのペットボトル導入を阻んでいる最大の問題が、おそらくこの「低価格・低品質なイメージ」です。

新技術によってガラス瓶並みに酸化が防止できるようになった現在、販売後すぐに飲まれることを前提とした製品であれば、高級ワインがペットボトルを採用しても本来何の問題もありません。

しかし、容器がペットボトルだというだけでなんとなく安っぽいイメージになってしまうため、実際に価値の高い銘柄に使用されることはほぼありません。

結果的に、「ペットボトルを採用しているワイン=低価格・低品質なワイン」という状況になってしまい、イメージがさらに強化されるという悪循環になっています。

スクリューキャップの普及にかなり長い時間がかかったように、ペットボトルの悪いイメージが払拭されるまでには、まだしばらくかかりそうです。

ペットボトルのワインはデイリーワインとしては優秀

高い品質は期待できないものの、軽くて扱いやすいペットボトルワインは日常的に飲むデイリーワインに適しているといえるでしょう。

酸素の透過を防ぐコーティングによって1年程度の保存なら酸化せず、多少の衝撃では割れる心配もないペットボトル容器のワインは、まとめ買いしておきたいデイリーワインに最適です。

長期熟成するような高品質ワインが現状ほとんどないため全体にお手頃価格なのも、毎日ワインを楽しみたい人にとってはメリットと言えます。

デイリーワインとして飲んでいるとどうしてもゴミがたくさん出てしまいますが、ボトルだけの重さが20~30gしかないペットボトルならまとめて廃棄も簡単です。

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