知っておきたいワイン用語

ワイン用語の「新世界」っていったいなに? 定義やワインの特徴

地図とワイン
記事の目次

新世界とは大航海時代以降に開拓されたワイン生産国

ワイン用語における新世界(ニューワールド/New World)とは、15世紀の大航海時代以降に開拓されたワイン生産国を指します。

具体的には、アメリカ、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、中国、そして日本などが含まれます。

伝統的な品種や醸造方法などの規則が多いヨーロッパの産地に対して、守らなければいけない条件が平均的に緩いのが大きな特徴のひとつとなっており、比較的自由なワイン造りが行われています。

自由な環境を求める若い醸造家の流入などもあって急激に品質が高まっている地域が増えてきており、近年ではヨーロッパのワインよりも大きな注目を集める銘柄も少なくありません。

新世界のワインの特徴

ブドウ栽培やワイン造りに関する規則が比較的緩い

新世界ではブドウ栽培や品種選び、ワインの造り方などの規則が比較的緩く、自由で実験的なワイン造りが行われています。

ヨーロッパの主要なワイン産地は基本的に数百年以上、長ければ西暦前からの歴史と伝統を持っており、それに基づいた細かい条件が法律(ワイン法)で定まっているのが一般的です。

これは「有名産地のワインなのに驚くほどまずい」というような問題が起こるのを防いでいますが、同時に先進的な新しいワインが生まれにくいという難点もあります。

しかし、新世界の産地はワイン造りに関してはまだ浅い歴史しか持たず、ヨーロッパのような厳しい規則が定まっている地域はほとんどありません。そのため、生産者のアイディアに基づいた自由なワイン造りが可能で、実験的な銘柄や新しいムーブメントが生まれやすいのです。

もちろん、その分悪いほうに前衛的なワインもないわけではありません。ですが、インターネットなどを通じて情報や知識が手に入れやすくなっている現代では、昔ほどひどい品質のワインは非常に少なくなっています。

また、地元の条件に縛られたワイン造りにうんざりしたヨーロッパの若い醸造家が、自由を求めて新世界へと移住するケースも増えてきており、これも品質の向上に一役買っています。

新技術・新設備などの導入を積極的に行う生産者が多い

保守的なヨーロッパの生産者に比べて、新世界では新技術・新設備などが積極的に試されており、新しいタイプのワインが多く見られます。

長い伝統の積み重ねがあるヨーロッパの産地では、新しい技術や設備、ツールなどの導入に慎重な生産者が少なくありません。

実際、コルク汚染の問題を解決しうるスクリューキャップや、安価なデイリーワインならほとんど問題ないペットボトルが開発されたときも、最初に積極的な導入を行ったのは新世界の生産者たちでした。

新しい技術・設備にはリスクもあるのですが、それによって新しいタイプのワインや、品質に対して価格の安い、コストパフォーマンスの良いワインが生まれる可能性も高くなります。

より先進的なワインを求める人にとっては、新世界はヨーロッパの有名産地よりも注目に値する産地となってきているのです。

全体に価格は低めで発展中の産地はかなりお買い得

新世界のワインは平均的に価格設定が低めで、現在進行形で発展中の産地のワインにはコストパフォーマンスが非常に良いものが少なくありません。

歴史や伝統による信頼がなく、最初は技術的にもヨーロッパの産地に大きく劣っていた新世界では、もともと安価なワインが中心に造られていました。

その頃のイメージが払拭しきれていないことや、人件費が比較的安価な地域が多いことなどから、新世界のワインは一部の例外を除いて現代でも平均的に低めの価格設定になっています

しかし、情報や知識を得やすくなっていることや、高性能な設備が開発されたことなどにより、新世界のワインの品質は急激に良くなってきています。そのため、お手頃価格なのに高品質なお買い得ワインが増えてきているのです。

もちろん、新世界にも有名なワイナリーや醸造家、高級な銘柄も存在し、特にそうした傾向が強いカリフォルニアのようにブランド化してきている地域も存在します。

掘り出し物のワインを探すのであれば、近年急激に発展してきている産地を中心に探すのが良いでしょう。

新世界に含まれる主な国とそのワインの特徴

アメリカ 長期熟成タイプも多い新世界の高級産地

新世界の中でも高級産地化が進む、質の高い地域です。

主に西側地域(カリフォルニア周辺)が中心になり、ナパヴァレーソノマヴァレーなど知名度の高い産地も少なくありません。

全体的にたっぷりとした果実味を味わえるフレッシュなワインが主流ですが、長期熟成向きの濃厚なタイプも増えてきています。

  • おすすめワイン
  • ・ベリンジャー カリフォルニア シャルドネ(Beringer California Chardonnay)

チリ コスパの良さが群を抜くもっとも注目すべき生産国

質は高いのに低価格帯のワインが多い、初心者にももっともおすすめしやすい産地です。

「コノスル」や「アルパカ」など、そのお手頃価格とおいしさから大ヒットする銘柄も多く、日本の国別輸入量ではここ数年ダントツで1位となっています。

親しみやすい味わいと価格、品種の違いを学べる単一品種使用のワイン(ヴァラエタルワイン)中心など、注目すべき要素の多い生産国といえるでしょう。

  • おすすめワイン
  • ・コノスル レゼルバ・エスペシャル カベルネ・ソーヴィニヨン(Cono Sur Reserva Especial Cabernet Sauvignon)
  • ・サンタ・ヘレナ アルパカ シャルドネ・セミヨン(Santa Helena Alpaca Chardonnay Semillon)
  • ・カッシェロ・デル・ディアブロ レセルバ カルメネール(Casillero del Diablo Reserva Carménère)

オーストラリア 大らかな風土と果実味豊かなワイン

全体的に果実味豊かで濃厚なワインが楽しめる、大らかな姿勢でワイン造りが行われている生産国です。

カベルネ・ソーヴィニヨンとシラー(シラーズ)をブレンドする、スクリューキャップを世界で初めて本格的に導入するなど、柔軟で大らかな方針でワイン造りが行われています。

濃厚で果実味たっぷりのワインが好きなら、きっと気に入る銘柄が見つかるはずです。

  • おすすめワイン
  • ・ウルフ・ブラス レッドラベル シラーズ/カベルネ(Wolf Blass Red Label Shiraz/Cabernet)

ニュージーランド 新世界における白ワインの聖地

新世界における白ワインの中心地となりつつある産地です。

ソーヴィニヨン・ブランの白ワインが好きなら、ニュージーランド産は絶対にはずせません。

オーストラリアと同じく、高品質なワインであってもスクリューキャップ率が非常に高い地域でもあります。

  • おすすめワイン
  • ・サザン・バンダリー・ワインズ ホームクリーク マールボロ ソーヴィニヨン・ブラン(Southern Boundary Wines Home Creek Marlborough Sauvignon Blanc)

南アフリカ 現在発展中の期待値高めの生産地

今世紀に入りじわじわと品質が向上してきている生産国です。

南半球ですが環境的にはヨーロッパの主要産地に近く、フランスの流れを汲んだワイン造りが行われているため、高品質なワイン造りの下地は整っているといえます。

まだ銘柄ごとにばらつきはありますが、時々びっくりするほどおいしいボトルもあるので、掘り出し物が好きな方にはおすすめです。

  • おすすめワイン
  • ・クマラ カベルネ・シラーズ(Kumala Cabernet Shiraz)

日本 不利な条件を克服し認められつつある国産ワイン

日本の風土は、もともと環境条件(テロワール)的にあまりブドウ栽培に向いていません

そのため、20世紀末頃までは輸入した濃縮果汁や原料ワインによる大量生産的なワイン造りが中心でした。

しかし、近年ようやく品質向上の努力が実を結び、良質なワインが生み出されるようになってきています。

他の新世界のワインよりもやや高価ではありますが、日本人の味覚、そして日本食にも合いやすい丁寧な造りのものが多くなっています。

  • おすすめワイン
  • ・シャトー メルシャン 長野シャルドネ
  • ・蒼龍葡萄酒 生ワイン 白(山梨甲州)
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