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高級甘口ワイン「貴腐ワイン」ってどんなワイン? ジャム以上に甘いって本当?

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記事の目次

貴腐ワインとは稀少で高品質な極甘口ワイン

貴腐ワインは、「貴腐ブドウ」と呼ばれる特殊な状態のブドウを原料とする、極甘口ワインです。原料が稀少であることや、非常に良質な香味を持っていることから、「ワインの王、王のワイン」とも評価され、実際に王室ご用達だったこともありました。

あまりに糖度が高いので酵母がうまく活動できず、アルコール度数は一般的に5%前後しかないのが一般的です。その甘さとアルコール度数の低さから、ワインというよりはデザートとして楽しまれることも多いようです。

貴腐ワインの原料はカビと偶然が生み出す貴腐ブドウ

貴腐ワインの原料である貴腐ブドウは、「灰色カビ」というカビの一種によって作り出されます。このカビは本来、ブドウの葉や果実をだめにしてしまう病気の原因となるやっかいものです。

しかし、偶然が重なった一定の条件のもとでは、ブドウの皮に微細な穴を開けるだけで果実や果汁に悪さをしないことがあります。その状態が続くことで果肉から水分が蒸発し、独特の風味を持った濃厚な果汁が生み出されます。

ブドウが貴腐化できる条件は非常に厳密で、ほんの少し気温や湿度が変わっただけで、単にかびただけのブドウになったり、逆にまったくカビが発生しなくなります。

そのため、貴腐ワインを造ることができる産地は限られていて、しかも毎年造ることができず、結果として類を見ないほど貴重で高級なワインになるのです。

極甘口なのに飲みやすい絶妙なバランスと複雑な香り

灰色カビ菌の作用で濃縮したブドウ果汁を使用する貴腐ワインは、はちみつやジャムに例えられるほどの極甘口になります。

実際、100%貴腐ブドウだけを原料とする「トカイ・エッセンシア」というワインは、50度以上の糖度を持つものも珍しくありません。「ジャムに例えられる」どころか、一般的なジャム(糖度40度前後)以上の甘さを持っているわけですが、しかしそれでも甘すぎて飲めない、とならないのが貴腐ワインのすごいところ。

糖分と一緒に濃縮された酸やポリフェノールなどの成分が、絶妙なバランスを生み出して甘さのインパクトを和らげるため、実際の糖度からは考えられないほど飲みやすくなります。

また、香りの成分も濃縮される上、灰色カビの活動によって様々な微量成分も生み出されるため、普通のワイン(スティルワイン)とは比べ物にならないほど複雑で奥深い香りを持つようにもなります。
そのため、数口、どころかひと舐めでも十分満足できてしまうほどの濃厚なおいしさになるのです。

貴腐ワインは限られた土地でしか造れない貴重なワイン

貴腐ワインの産地は、ハンガリーのトカイ地方、ドイツのライン地方、フランスのモーゼル地方やソーテルヌ地方などです。

貴腐ワインの原料となる貴腐ブドウは、いくつもの条件が偶然重なった時にだけ生まれるブドウで、しかも(近年では発生の条件も科学的に解明されてきていますが)人工的に造ることは禁止されています。

そのため、貴腐ワインを造ることができる産地は非常に限られており、今後も増える可能性はあまり高くありません。

ただ、最近ワインを造り始めた地域では例外的に新しく貴腐ワインを造ることのできる地域が見つかることもあります。例えば1975年には、日本の山梨県でも貴腐化したブドウが収穫されニュースになりました。
現在でも、長野や北海道などで国産の貴腐ワインが少量ながら生産されています。

貴腐ワインに合う料理 濃厚な食材、スイーツなど

貴腐ワインは非常に濃厚な味わいを持っているので、同じようにこってりとした素材や料理、特に塩分よりも脂肪分の多いものに良く合います。

古くはフォアグラやキャビアなど高級な食材と共に楽しむものとされていたようですが、レバーパテやテリーヌ、蒸したうに、たらこ、ブルーチーズやクリームチーズなど身近な食材でも相性の良いものは少なくありません。

また、極甘口なので同じように甘いケーキやチョコレートと合わせてデザートとしていただくのも良いでしょう。

逆に合わせにくいものとしては、水分量の多い野菜や生の魚、臭みや刺激の強い食材、スパイスの効きすぎた料理などがあげられます。

非常に良質で高級なワインですので、メインというよりは「ワインを引き立ててくれるサポート役」というイメージで料理を選びましょう。

おすすめの貴腐ワイン

お手頃価格の貴腐ワインは味わいも初心者向け

貴腐ワインは、使用された貴腐ブドウの質や量によって、味や香りはもちろん、甘さやアルコール度数、そして値段が大きく違ってきます。

甘いものが苦手、もしくは雰囲気だけ感じてみたい、という方は、お手頃な価格のものからスタートしてみましょう。

貴腐ブドウの割合が低めの製品は甘さも控えめで、濃いめの甘口白ワインくらいの感覚で楽しめます。

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本格的な貴腐ワインを少量ボトルで気軽に試す

一方、本格的な貴腐ワインを試してみたいという場合は、同じ値段でも少量のボトルを探してみましょう。

高ければおいしいと言うわけではありませんが、あまり安価なものを選ぶと感動も薄れてしまう可能性があります。同じ値段でも量が少なければ、相対的に高級な製品を選べるというわけです。

貴腐ワインは非常に高級なワインなので、150~200mlという普通よりもかなり小さめのボトルで販売されている製品も少なくありません。

こんなに少ないと物足りないのでは、と心配になるかもしれませんが、良質な貴腐ワインはほんの少しでも深い満足を得られます。

ぜひ「量より質」の選択で、貴腐ワインの真髄に触れてみてください。

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いろいろな産地を試して貴腐ワインの奥深さを味わう

貴腐ワインも、普通のワイン(スティルワイン)と同じように産地によって特徴が異なります。ひとつ試してみて気に入ったなら、他の産地のものにもチャレンジしてみましょう。

複雑な風味を持つフランス産、濃厚な中にもどこかすっきりとした爽やかさを持つハンガリー産、ナッツにも似たコクを感じるドイツ産など、同じ貴腐ワインでもいろいろな表情を持っていることに驚くはずです。

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