スクリューキャップのワインってどうなの? コルクとの比較
記事の目次
スクリューキャップ式ボトルのワインとは
スクリューキャップボトルとは、口元外側にねじやま状の構造があり、主に金属のキャップにボトルの口元をねじ込むことで栓をするようになっているタイプのボトルのことです。
コルクを使用していないため、道具を使わず誰でも簡単に開栓できます。
近年では密封性も向上していますが、かつてはコルクよりも質の劣る簡易な密栓方式とされ、安価なテーブルワインにしか使われていませんでした。
そのため、現在でも安っぽいイメージが払拭しきれず、ワインの栓としてはいまだに主流にはなりきれていません。
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スクリューキャップのメリット
開栓するのに特別な道具が必要ない
スクリューキャップ方式の最大のメリットは、開栓するのにコルク抜きなど特別な道具は不要で、素手で開けられるということです。
ワインは好きだけどコルクを抜くのだけは何度やっても苦手、という人は少なくないのではないでしょうか。
原始的なT字型以外にいろいろな形状のコルク抜きが販売されている現代でも、ワインの開栓は比較的失敗率の高い、ハードルの高い作業のひとつです。
しかし、スクリューキャップであれば、ボトルとキャップを握って軽くひねるだけでいとも簡単に開けることができるのです。
コルクを抜く道具をうまく使えない方はもちろん、高齢な方や腕力に自信の無い方にもうれしいポイントといえるでしょう。
コルクによる劣化問題が発生しない
スクリューキャップは金属やプラスチックでできているため、コルクが原因で起こるワインの劣化、いわゆる「ブショネ」の心配がありません。
ブショネは、コルクの中に含まれる悪臭物質がワインに移ることで発生する、ワインが飲めないほど嫌なにおいになってしまう問題のことです。
この悪臭物質は「プール一杯分の水に一滴垂らすだけではっきりわかる」と言われるほど微量で影響が出るもので、コルクを事前に検査しても完全に検出しきることは不可能。
そのため、技術が進歩した現代でも100本に1~2本はコルクのせいでダメになってしまうワインが発生しています。
しかし、そもそもコルクを使っていないスクリューキャップの場合は、ブショネになる可能性は一切ありません。
これは生産者や販売に関わるお店のみならず、消費者にとってもうれしいメリットだといえます。
一度開栓しても再栓しやすい
ねじ状になっているスクリューキャップは、一度開けた後でも簡単に栓を戻すことができます。
ワインは非常に酸化しやすいので、飲み残した分を保管するときはもちろん、飲んでいる最中にもできるだけ再栓し、新しい酸素との接触を避けるべきです。
しかし、コルクの場合は再度ボトルに入れるのがなかなか難しく、入ったとしても気密性は低下してしまいます。
抜栓の際にコルクが壊れてしまった場合などは、再栓するための道具(ワインキーパーなど)を別途用意せねばならないこともあります。
その点、ねじ山に合わせてひねるだけのスクリューキャップはなんの心配もいりません。
近年の製品は再栓後の気密性も高く、安心してゆっくりとワインを楽しむことができます。
家庭での保存が簡単
スクリューキャップボトルのワインは、コルク栓のボトルに比べて保管の仕方に気を使う必要が少なく、家庭でストックしておくのが簡単です。
コルク栓の場合、乾燥して気密性が損なわれないよう、ボトルは基本的に寝かせてコルクの内側がワインに触れている状態を維持しなければいけません。
同じく外側も乾燥しすぎると収縮してしまうため、保管場所の湿度にも気を配る必要があります。
しかし、金属でできているスクリューキャップの場合、乾燥で縮むことはありませんので、ボトルを立てた状態で置いておくことができますし、基本的に湿度を気にする必要はありません。
ワインセラーどころか、ワインが傷まない保存場所を探すだけでも頭を悩ませることの多い一般家庭にとって、非常にありがたいポイントといえるでしょう。
スクリューキャップのデメリット
密封性が高すぎて長期の熟成には向かない
スクリューキャップは未開封の状態だと非常に気密性が高く、わずかな酸素の流入を必要とする長期熟成には向きません。
コルクは逆さにしてもワインがもれることのない密封性を誇りますが、実はほんのわずかずつ気体が出入りする余地があります。
これによってごくわずかな量の酸素が継続的にボトルの中に供給され、数十年という時間をかけてゆっくりと酸化することで熟成が進みます。
しかし、スクリューキャップの場合はあまりに気密性が高すぎるため、この酸素の流入が起こらず、途中で熟成が止まってしまうのです。
近年では、コルク栓と同程度の酸素流入を再現するキャップなど新しい技術も開発されてきていますが、それらにどれくらい効果があるかは検証中となっています。
サビに気をつけなければいけない
主に金属でできているスクリューキャップは、サビによる劣化に気をつける必要があります。
コルクの場合は、口の周りを覆っているシールなどに金属が使われていない限り、サビの発生を心配する必要はありません。
そのため、湿度の高さや他の金属との接触などを気にしなくてもよく、地下室や洞穴、船の上や場合によっては海の中でも保管することができます。
しかし、金属でできているスクリューキャップは、そうした環境ではサビが発生し、劣化して中のワインがダメになってしまう可能性があります。
スクリューキャップボトルのワインはそもそも長期熟成には向きませんが、数ヶ月程度の短期間でも保管する環境を清潔に保つ必要があるといえるでしょう。
安っぽいイメージがついている
スクリューキャップのボトルは、コルク栓のボトルに比べるとどうしても安っぽいイメージが付きまとってしまいます。
スクリューキャップ式のボトルがワイン用として使用され始めたのは20世紀半ばのことですが、当初は現在のものに比べて気密性が低く、ワイン容器としての能力に疑問符がつく状態でした。
そのため、基本的に高品質なワインには使用せず、多少酸化してしまってもあまり問題にならない低価格・低品質なワインに限って導入されるケースがほとんど。
ある程度以上名を知られている生産者は、そもそもスクリューキャップ式のボトルは使わない、という時期が長く続きました。
現在では改良が進み気密性もほぼ問題ないのですが、イメージの問題からあくまでコルク栓にこだわるワイナリーのほうが半数以上を占めています。
スクリューキャップのワインが増えているわけ
現在でも、ワインの栓といえばコルクが思い浮かべられる状態に変わりはありませんが、それでも少しずつスクリューキャップ式のボトルを採用する生産者が増えてきています。
これは、技術の進歩によってスクリューキャップの信頼度が実用に耐えるほど増していること、そしてその情報が生産者だけでなく消費者にも広まってきていることが理由と言えます。
実際、何十年も保管しておく可能性のある長期熟成タイプのワインならともかく、10年経過する前にはほぼ飲まれてしまうようなワインであれば、コルクにこだわる必要はありません。
スクリューキャップ式を採用しているワインに良質なものが増えれば、消費者側のイメージの回復もさらに進むようになるので、今後もこの傾向は加速していくでしょう。
それどころか、現在コルクと同じように微量の酸素を透過できるスクリューキャップの開発も行われていますので、いつか長期熟成タイプまで含めたほとんどのワインの栓がスクリュー式になる未来もありうるかもしれません。
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