知っておきたいワイン用語

テロワールって何のこと? ワインの良し悪しを決める大事な要素 

ぶどう畑
記事の目次

テロワールとはブドウが育つ環境条件

テロワールとは、ワインの原料となるブドウが育つ環境条件のことです。

ブドウは育った環境の影響を非常に強く受ける植物で、同じ品種でも環境によってはまったく違う特徴を持つようになります。そのため、その産地がどんなテロワールなのかを知ることで、そこで造られるワインがどんな特徴を持っているのかを推測することができるのです。

ワインの説明を見ていると、よく「恵まれたテロワール」「優秀なテロワール」といった表現がありますが、これは「高品質なワインが期待できる環境ですよ」という意味なのです。

テロワールに含まれる条件と種類

テロワールは、ブドウの生育に関わる全ての自然条件を含みます。大まかな分類と、それぞれのブドウへの影響がどんなものかを見てみましょう。

地質 ワインの成分や品質を決める

良いテロワール例:水はけが良くブドウに適した地質がある、複数の地層が重なっている

条件を満たす地域例:フランス各地、スペイン北部、カリフォルニアなど

ブドウの樹が植わっている土地の地質は、ワインに含まれる成分やブドウの品質を決定します。ブドウはとても多くの水分を必要とする植物で、水を求めて地中深くまで根を下ろすことができます。

長く伸びた根は、地中から様々な微量成分を拾い上げ、ワインの味や香りを豊かにしてくれます。

しかし、地表近くに十分な水分があると、樹はそこで根を伸ばすのをやめてしまうため、その樹から収穫されたブドウは単調な味わいになってしまいます。そのため、ブドウ畑は保水性の低い、砂利や石ころの多い痩せた土地が向いています。

また、どんな成分を吸い上げられるかはどんな地層があるかによって変化します。石灰が多い地層ならミネラル感の強いワインになりますし、複数の地層が折り重なっていれば複雑な味わいになるのです。

  • おすすめワイン
  • ・ペッパーウッド・グローヴ ジンファンデル(Pepperwood Grove Zinfandel)
  • ちょっとリッチなおすすめワイン
  • ・フランシーヌ エ オリヴィエ サヴァリ シャブリ プルミエ クリュ フルショーム(Francine et Olivier Savar Chablis 1er Cru Fourchaume)

気温 ワインの飲み応えや酸味のタイプを決める

良いテロワール例:夏場に適度に温度が上がる、昼夜の寒暖差が激しい

条件を満たす地域例:イタリア中部、オーストラリア、チリなど

気温はブドウの熟成度合いを決めるため、ワインの飲み応えや酸味の種類に影響を与えます。

ブドウも他の植物と同じように、暑い地域ではよく熟し、寒い地域では完熟させるのが難しくなります。果実が若いうちは刺激的な酸味が強く、完熟するとまろやかな酸味になり酸自体が弱くなりますが、これがワインにも反映されるのです。

また、気温が高いほど樹の活動が活発になり、果実に多くの成分が蓄えられていきます。こうして蓄えられた成分が多いほど、アルコール度数が高くなったりコクが深まるため、ワインになったときの飲み応えも強くなります。

  • おすすめワイン
  • ・コノスル カベルネソーヴィニヨン レゼルバ・エスペシャル(Cono Sur Cabernet Sauvignon Reserva Especial)
  • ちょっとリッチなおすすめワイン
  • ・テヌータ・ポッジョ・イル・カステッラーレ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(Tenuta Poggio il Castellare Brunello di Montalcino)

降雨量 ワインの濃さや品質を決める

良いテロワール例:夏から秋にかけて少雨で、冬から春にまとまって降る

条件を満たす地域例:ドイツ、スペイン各地、カリフォルニア中部など

雨がいつ、どれくらい降るかは、ワインの濃さや品質を決定する重要な要素です。

ブドウは根が長く伸びたほうが地中の成分を吸い上げる能力が高くなりますが、地表近くで十分な水分が確保できるなら、無理をして根を伸ばすようなことはしません。降水量が多いと、土地に保水性があるかどうかに関わらず、根が地表付近にとどまってしまいます。

また、水などの副原料をほぼ使用しないワインにとって、果汁の濃さがそのままワインの成分やアルコールの濃さに繋がりますブドウは吸い上げた水分を果汁として蓄えようとしますので、晩夏から初秋の収穫期にまとまった雨が降ってしまうと、果汁、ひいてはワインも水っぽく薄いものになってしまうのです。

だからといって水分があまりに少なければ、もちろん植物であるブドウの樹は育ちません。降水量やタイミングは、テロワールの中でも特にシビアな条件であるといえるでしょう。

  • おすすめワイン
  • ・ノルデハイマー フェーゲライン シルヴァーナー クーベーアー トロッケン(Nordheimer Vogelein Silvaner Qba Trocken)
  • ちょっとリッチなおすすめワイン
  • ・ドミニオ・デ・ピングス PSI(プシー)(Dominio de Pingus PSI)

日照 ワインの飲み応えや味わいを決める

良いテロワール例:年間日照時間が長い、日が強い

条件を満たす地域例:スペイン丘陵部、フランス南部、カリフォルニア南部など

日当たりの時間や強さは、ワインの飲み応えの強さや味わいに関わります。

光合成を行うブドウがしっかり成長するには、十分な日照時間が不可欠です。日照が足りないと果汁の糖分が不足してちゃんと発酵させることが難しくなり、アルコール度数が低く、飲み応えが弱くなってしまいます

また、果実そのものに日が当たるかどうか、どれくらいの強さで当たるかなどは、特に果実の皮を利用する赤ワインの味わいを変化させる要素です。そのため、日照が弱かったり短かったりする産地では、ブドウ畑を斜面に作ったり河の反射光を利用したりして、少しでも多くの光を浴びさせる工夫をしています。

  • おすすめワイン
  • ・シンコ・ガトス ガルナッチャ(Cinco Gatos Garnacha)
  • ちょっとリッチなおすすめワイン
  • ・カレラ セントラル コースト ピノ・ノワール(Calera Central coast Pinot Noir)

その他 ワインの細かい特徴を決める

それ以外にも、ブドウを取り巻くあらゆる環境の違いが、ワインの細かい特徴に影響を与えていきます。

例えば、風の強さや方角、地面の傾斜、近くの木や建物の陰の有無、道路からの振動、虫や微生物の違いなど、そんなことで?と言いたくなるような微細な条件が、思う以上にワインの質を変化させます。シャルドネやピノ・ノワールなど、特にテロワールの影響を受けやすいブドウの場合、極端なケースだと隣り合った樹でさえも違いが出ることがある程です。

だからこそ、奇跡的にあらゆる良い条件が整う地域や区画、畑などは、特別なものとして尊敬を集めるのです。

  • おすすめワイン
  • ・コノスル シャルドネ オーガニック(Cono Sur Organic Chardonnay)
  • ちょっとリッチなおすすめワイン
  • ・マコン・シャルドネ クロ・ド・ラ・クロシェット(Macon Chardonnay Clos de la Crochette)
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