「バターの香りがする白ワイン」ってどういうこと？　特徴や味わいとは

白ワインの説明コメントを見ていると、「バターのような風味」となっているものが少なからず出てきます。ワインなのにバター味って、と混乱してしまう人もいるかもしれませんが、これは別にウケ狙いの誇張した表現ではなく、ちゃんと理由があってそうなっているのです。

なぜそうなるのか、実際のところどんな味なのかをチェックしてみましょう。

バターの香りがする理由　「マロラクティック発酵」

乳製品ではないはずの白ワインにバターの風味がつくのは、熟成中に起る乳酸発酵「マロラクティック発酵」が理由です。

ワインはもともと「リンゴ酸」という、レモンやライムのようなきゅっとする刺激的な酸を持っています。このリンゴ酸を乳酸菌が分解し、乳酸と微量の二酸化炭素に変えてしまうのがマロラクティック発酵です。

乳酸はリンゴ酸よりもまろやかで、なにより乳製品に共通する独特の味を持つ酸です。これが発生することで、ワインにまるでバターやヨーグルトのような風味が加わるというわけです。

マロラクティック発酵が起ると、刺激的なリンゴ酸が分解されまろやかな乳酸が発生することで、白ワインにしては酸味の控えめな味わいになります。酸っぱいタイプのワインがあまり好きじゃない、という方は試してみる価値があるといえるでしょう。

また、変化しやすいリンゴ酸を変化しにくい乳酸に変えるのは、長期間の熟成を行う前準備でもあります。バターの風味がするほどしっかりとマロラクティック発酵を起こしたワインは、そのあとに比較的長めの熟成を行っているものが多く、深いコクのある複雑な味わいになっています。

コクのあるタイプの白ワインが好きな人は、特徴に「バターの風味」と書かれていたら好みに合う可能性が高いと言えるでしょう

このタイプのワインはきつい酸味が控えめなので、フレッシュな白ワインとは合う料理も変わってきます。同じ乳酸系の香りを持つチーズやバターなど乳製品を使用した料理、魚や肉を蒸したものなど旨みのしっかり乗った料理に合わせてみるといいかもしれません。

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