ブドウの種類

シラーのワインの特徴 暴力的なまでのパンチの強さ!

シラー
記事の目次

シラーとは

シラーとは、フランス原産の赤ワイン用黒ブドウです。

酸や渋み、インパクト、香りなどあらゆる方面でパワフルで、濃厚な個性と特徴を持っています。温暖な産地で加減せずに栽培・醸造した場合、あまりに濃厚すぎて「暴力的」とすら表現されることもあるほど。

かつては主に他の品種のワインに対するブレンド用として、インパクトを底上げするために使用されていました。
現在ではワインにしたときの成分の量などをコントロールする技術も発達したため、単独で使用するケースも増えてきています。

オーストラリアでカベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドしたものが大ヒットし、どちらかというと単独使用よりもこの不思議なブレンドの方で名前を知られているという、ちょっと特殊な品種でもあります。

ちなみに、オーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれています。

シラーのワインの特徴

シラーのワインは、口に含んだ瞬間から飲み込んだ後の余韻まで、味も香りも全てが濃厚で主張が強いのが特徴です。

近年はタンニンを控えめにしたものが中心ですが、それでもパワフルすぎて飲み疲れしてしまうこともあるほど。単独で使用したワインは、造られたばかりの若いものよりも、10年前後の熟成を経て落ち着いたものの方が楽しめます。

普通、ブドウをブレンドしてワインにする際は、特徴の異なるお互いを補い合う関係のもの同士を使うものですが、オーストラリアでは何故か同じようにいろいろな成分の濃いカベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされ、しかもそれが大成功を収めています。

互いを補い合うのではなくけん制し合うような形でバランスが取れているこの奇妙なブレンドは、日本では「シラカベ」の愛称でシラー単独のワインよりも一般的に親しまれています。

シラーのワインの味

渋みはほどほどですが、それ以外の酸味や果実味などが非常に濃厚です。もともとの果汁の糖度が高いのか、メルローのようにやや甘めに仕上げてあるものも少なくありません。

口当たりなめらかでこってりとした風味は、オリーブやチョコレートなどとろりとした油分を含む食品に例えられることからも読み取れるでしょう。当たりがきついわけではないのですが、全部がパワフルすぎて赤ワインを飲みなれない人にはちょっとしんどいかも。

カベルネ・ソーヴィニヨンとはまた違った方向で、赤ワインらしい赤ワインと言えるかもしれません。

シラーのワインの香り

フランスなどやや寒冷な地方ではスパイシーな香り、オーストラリアなどでは南国フルーツのような華やかな香りになります。

特にフランスのものは「胡椒の香り」と表現される上品な香りを持ち、熱烈なファンも少なくありません。
熟成してくるとややスモーキーな感じになり、甘やかなバニラやカカオなどのニュアンスも出てきます。

シラーのワインの色

加減していない状態だと、不透明で黒っぽい赤~赤紫。濃さを抑えた状態だとやや鮮やかになりますが、向こうが透けて見えるほど透明であることはまずありません。
熟成してくるとレンガ色から赤茶に変化していきます。

シラーのワインに合う料理

とにかくパワフルなシラーのワインには、クセのある肉やチーズ、スパイスをしっかりきかせた料理など個性的な料理と良く合います。

イノシシや鹿、野鳥などのジビエ料理、スパイスたっぷりのステーキや煮込み料理、ハーブを練りこんだハンバーグなどにチャレンジしてみてはいかがでしょう。

癖の強いウォッシュチーズやブルーチーズ、やぎの乳のチーズなども相性抜群です。シラーの持つスパイシーな胡椒の香りと濃厚な味わいが、料理のインパクトと激しい攻防を繰り広げるのを楽しむことができますよ。

逆にあわせにくいものとして、水分の多く青臭みのある生野菜や生魚、繊細な味付けの料理などがあげられます。

初心者にもおすすめのシラーのワイン

初心者でシラーを試したい、という方は、オーストラリアのものを選ぶと失敗が少ないかもしれません。(この場合は、「シラーズ」という名前で探しましょう)

カベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドはもちろんですが、単一で使用したワインも成分量を調整して飲みやすく仕上げたものが多く、強めの赤ワインを飲みなれない人にとっても楽しみやすいはずです。

  • おすすめワイン
  • ・ジェイコブス・クリーク ダブル バレル シラーズ(Jacob's Creek Double Barrel Shiraz)
  • ちょっとリッチなおすすめワイン
  • ・ミトロ・GAM・シラーズ(Mitolo GMA Shiraz)

逆に飲み応えのある赤ワインが好きなら、アメリカ産のものがおすすめです。高い気温と強い日照によって本領を発揮したシラーは、アルコール度数も果実味も口当たりも全てが「強」のガッツリ系。

価格が控えめのものだと、比較的一般向けに調整されている銘柄も多いのですが、ちょっと奮発すればこの品種の真髄を堪能できるボトルに出会えるはずです。

  • おすすめワイン
  • ・サイクルズ・グラディエーター シラー カリフォルニア(Cycles Gladiator Syrah California)
  • ちょっとリッチなおすすめワイン
  • ・ピエドラサッシ シラー “PS” サンタバーバラ・カウンティ(Piedrasassi Syrah “PS” Santa Barbara County)

もちろん、シラー発祥の地であるフランス産も見逃せません。特に南側に位置するラングドック・ルシヨン地方のものは、胡椒に例えられるスパイシーさと意外な繊細さを味わえる銘柄も少なくありません。

ただ、フランスのシラーは他の産地よりもやや高価なものが多く、あまり安価なものを求めるとひどく飲みづらい可能性もあるので注意が必要です。

  • おすすめワイン
  • ・エス ラ シラー カーヴ サン デジラ(S La Syrah Cave Saint Desirat)
  • ちょっとリッチなおすすめワイン
  • ・シャトー ラ ネグリ ラ ファレーズ(Chateau La Negly La Falaise)
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