ワインの種類

貴腐ワインの価格 高いイメージがあるけど実はお手軽なものも

コインが入ったワイングラス
記事の目次

貴腐ワインが高価な理由

銘柄にもよりますが貴腐ワインは基本的に非常に高価なワインです。
一般的なワインボトルより小さい500ml程度の製品でも数千円~数万円、物によっては10万円以上するものもあります。

貴腐ワインは、なぜこんなに高価なのでしょうか。
また、比較的安い銘柄と特に高い銘柄では何が違うのでしょうか。

原料の貴腐ブドウが稀少だから

貴腐ワインが高価な最大の理由は、その原料となる「貴腐ブドウ」が非常に稀少だからです。

貴腐ブドウは、樹になったままのブドウの皮に「灰色カビ」が発生し、果汁が濃縮され干しブドウのような状態になったものです。ただし、カビが普通に繁殖してしまうと単に「カビの生えたブドウ」になるだけで、ワインの原料としては使えなくなってしまいます。

貴腐ブドウができるには、果汁は濃縮されるけど悪い影響は出ない程度に灰色カビが発生するという、絶妙な天候や気温・湿度の変化が起こらなければいけないのです。さらにこのプロセスを人工的に起こすことは禁止されており、自然に任せた状態で偶然できたものしか使うことができません。

そのため、産地が非常に限られるのはもちろん、毎年できるかどうかもわからず、結果として非常に稀少で高価になってしまうのです。

果汁が濃縮されていて一本の木から少ししかとれない

貴腐ブドウからは、そもそも非常に少量しか果汁が絞れません。

灰色カビ菌の影響で果汁の水分が蒸発し、干しブドウのような状態になったのが貴腐ブドウですが、収穫時の水分量は最大時の1/5~1/6程度にまで減少しています。つまり、ブドウひと房から本来の15~20%前後の果汁しか得ることができないのです。

しかも、貴腐ブドウは人の手で選別しながらでなければ収穫できないため、手間は普通のブドウ以上にかかります。結果として、果汁の量に対して人件費などの費用の割合が非常に高くなり、価格が上がってしまうのです。

貴腐ブドウから得られる果汁は大変稀少なので、発酵させる果汁のうちどれくらいが貴腐ブドウから得られたものかによって、ワインの価格が大きく変わります。

つまり基本的には、使用しているブドウの中の貴腐ブドウの比率が高いほど、高価な貴腐ワインになるのです。

甘味の強い果汁は発酵させるのが大変だから

貴腐ブドウの果汁は普通のワイン用とは比べ物にならないほど甘く、発酵させるのに長い時間がかかります。

アルコール発酵とは「酵母」という種類の菌が糖をアルコールと二酸化炭素に分解することです。そのため、通常は糖分が多ければ酵母も活発に働き、発酵がどんどん進みます。

ところが、糖度があまりに高すぎると逆に殺菌作用が強くなってしまい、発酵が進みづらくなってしまうのです。(甘いジャムやはちみつが腐りにくいのと同じ原理です)

貴腐ワインは基本的にアルコール度数の低いワインですが、そこまで発酵を進めるのにも普通のワインより長い時間が必要になり、その分できあがりのワインの価格が上がってしまいます。

すごくおいしいから

おいしさも貴腐ワインが高価な理由の一つです。
当然ながら、どれだけ稀少な原料を使おうと、どれだけ手間隙・時間がかかっていようと、欲しがる人があまりいなければ価格は上がりません

貴腐ワインは非常に甘いだけでなく、酸味やコクなどのバランスもよく、ワインの魅力を濃縮したような味や香りを持っています。飲みたい人がたくさんいるのに生産量が少ないからこそ、貴腐ワインは高価なのです。

お手頃価格で貴腐ワインを楽しむ方法

少量ボトルを探す

貴腐ワインを安価に飲むもっとも簡単な方法は、小容量のボトルで販売されている製品を探すことです。

貴腐ワインは非常に甘いため、一度にたくさん飲めないタイプのお酒です。
そのため、大きくても500mlや375ml程度のボトルが普通ですが、さらに小さい200mlや187mlなどの製品も販売されています

容量が少なければ、ワインそのものの価格は同じかやや割高だとしても、ボトルとして見れば安価に購入することができます。

量が少ないと物足りないのではないかと不安になるかもしれませんが、貴腐ワインはほんの少しでも十分な満足感が得られるワインですので心配ご無用。
まずは少量で試してみて、気に入ったら大きなボトルの製品にチャレンジしてみましょう。

  • おすすめワイン
  • ・シャトー・マージュ・デュソ(Chateau Marges-Dusseau)
  • ・シャトー・ド・ルーケット パヴィヨン・ド・ルーケット(Chateau de Rouquette Pavillon de Rouquette)
  • ちょっとリッチなおすすめワイン
  • ・シャトー スデュイロー(Chateau Suduiraut)

貴腐ブドウの割合が低めの銘柄を選ぶ

貴腐ワインが高価なのは原料の貴腐ブドウが稀少だからなので、貴腐ブドウの比率が低い銘柄なら比較的安価に購入することができます。

貴腐ブドウは作ることのできる産地が限定されている上に、そう簡単に生産量を増やすこともできません。貴腐ブドウだけを原料として造ると欲しい人に行き渡らず生産も大変になります。そのため、多くの産地では貴腐ブドウと普通のブドウを混ぜて使用しています。

この時、貴腐ブドウの割合が小さいほど原料の価格が抑えられ、発酵させるのも容易になるため、全体の値段も控えめにすることができます。当然ながら、貴腐ブドウが少ないと貴腐ワイン特有の甘味や風味は薄まりますが、それでも十分な違いを感じられるはずです。

  • おすすめワイン
  • ・クラッハー ノーブルリザーブ トロッケンベーレンアウスレーゼ(Kracher Noble Reserve Trockenbeeren Auslese)
  • ちょっとリッチなおすすめワイン
  • ・シャトー・ギロー(Chateau Guiraud)

レストランやワインバーでグラスワインを頼む

貴腐ワインに限りませんが、ボトルごと購入するのが難しい銘柄を試したいなら、飲食店でグラスワインを頼むのが簡単で確実です。

量に対して割高にはなってしまいますが、ボトルごと購入するのに比べればかなり安くなります。ただし、普通のワインにくらべると置いてある店は少ないはずなので、事前に貴腐ワインが飲めるかどうかをチェックしてから行くようにしましょう。

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