ワインの基礎知識

紙パックのワインってどうなの? 意外と侮れないコストパフォーマンス

赤ワイン2つ
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「安ワイン」のイメージに反して、意外と悪くない紙パックワインの味

大容量で割安なイメージが強い紙パックのワインですが、容量比で同価格のボトルワインと比べると、品質や味は意外と悪くないものが多いようです。

まず、紙パックの容器はガラスのボトルに比べると安価に製造することが可能です。破損しにくく、四角いため空間を充填できることから輸送のコストも削減でき、それらの分のコストを品質の向上に当てることができます。

結果として、同容量あたりの価格が同じボトルワインに比べて高品質になっている可能性が高いのです。

さらに、近年主流のプラスチックバルブの気密性の高さも関係してきます。紙パックのワインと言っても、昔のような牛乳パック型は現在ではほとんど見られなくなりました。

プラスチック製の内袋にプラスチックのバルブがついているタイプは、ワインを注いでも中に空気が入らず内袋が縮んでいく仕組みになっています。

注ぐたびに新鮮な空気が流入してくるボトルワインと比べると、開栓後の酸化のスピードがかなり遅くなり、数日後の味や香りに大きな差が出てきます。

それに加えて、最近は再利用可能な資源の使い方に大きな関心が寄せられるようになってきており、「製品を安価に販売するため」ではなく「再利用しやすい素材を使用するため」に紙パックを選ぶメーカーも現れてきています。

こうしたメーカーでは、良質なワインも紙パック容器で販売しており、ボトルワインと比べても遜色のないおいしいものも少なくありません。

紙パックだからといって安ワイン=おいしくないとは限らなくなってきているのです。

開栓後は長持ちだけどストックは難しい 紙パックのワインの保存性

紙パックのワインの保存性は、短期では良く、長期では悪くなります。

多くの製品で採用されているプラスチックバルブは、上でも書いたようにワインを注いだときに容器内に空気が流入するのをしっかり防いでくれます。

通常のボトルワインの場合、一度開栓するとボトル内に空気が入り、しかも栓を開け閉めしたりグラスに注ぐたびに新しい空気が流入してきます。

そのため、再栓したとしても酸化が進んでしまい、ボトル内の酸素を追い出すようなツールを使用しない限り、数日以内に飲みきらなければなりません。

しかし、プラスチックバルブのついた紙パック容器のワインの場合は、開栓後も開栓前とほとんど変わらないコンディションをキープすることが可能で、数週間はおいしく飲むことができるのです。

ただし、内袋に使用されているプラスチックは、ガラス瓶と違って完全に酸素を遮断できる素材ではありません。

コルク栓のボトルワインは開栓しなければ酸化の心配はほとんどなく、安価なものでも数年、良質なものであれば数十年の保管にも耐えることができます。

しかし、紙パックの場合は開栓前の状態でも内袋全体からじわじわ侵入する酸素によって酸化が進んでおり、何年もストックしておくことはできないのです。

一般的には、パッケージに詰められてから1年ほどがおいしく飲める期限と言われており、それを過ぎると開栓していなくても劣化している可能性が高くなってきます。

紙パックのワインを購入するのであれば製造日をチェックし、できるだけ早く飲み始めるようにしたほうがいいでしょう。

紙パックワインの種類と特徴

一言で紙パック容器と言ってもいろいろな種類があります。

メーカーごとの細かい違いまで含めるときりがないので、ここでは大きく3つのタイプに分けて特徴とどんな人におすすめかを解説します。

紙パックに直接封入しているタイプ

牛乳や豆乳、安い日本酒などで採用されているタイプです。

紙パックの内側に防水のコーティングが施されており、ワインが直接詰めてあります。

容器の一部を切り取ったり引き開けたりして注ぎ口にするものと、プラスチック製のスクリューキャップが着いているものがあります。

安価で扱いやすく、飲んだ後は切り開いて紙としてリサイクルに出せるのがメリットですが、再栓が難しく一度開封したらできるだけ早く飲みきってしまわねばなりません。

1960年代にアメリカで使われ始めた比較的歴史ある容器で、「紙パックのワイン」というとこれを思い浮かべる人が多いと思いますが、近年ではあまり見かけなくなってきています。

プラスチックバッグが二重になっていて内袋に封入してあるタイプ

近年、醤油などの調味料で採用されているタイプです。

やや固めのプラスチックバッグの中に柔らかいバッグが入っており、内袋に繋がったプラスチックバルブからワインを注ぎます。

プラスチックバルブには弁がついており、ワインを注いでも空気が入ることはありません。ワインが減ると内袋が収縮、外のプラスチック容器と内袋の間に隙間ができていく仕組みです。

外装のプラスチックは固めではありますが硬質プラスチックほどではなく、内容量が減った状態で上に物を置いたりできるような強度はありません。

外装が紙になっているものに比べると小容量なものが多いので、頻繁に飲まない、飲んでも少量ずつという人におすすめです。

また、プラスチックだけを使用しているので捨てるときに分別が簡単というメリットもあります。(ごみの分別方法は自治体により異なる可能性があります)

ダンボールなど紙製の外箱にワインを詰めたプラスチックの内袋が入っているタイプ

四角い外装の箱にバルブ付きのプラスチックバッグが入っているタイプです。

外装もプラスチックのものに比べると強度があり、ワインが減った状態でも重ねて置くことができます。

比較的大容量の製品が多く、ボトルワイン4本分に相当する3リットル入りのものも。品質に対してかなり割安になるのが特徴です。

プラスチックバルブが空気の流入を防いでくれるので、開栓後も数週間はおいしく飲むことができますが、それでも3リットルはなかなかのボリュームなので、購入前には飲みきれるかどうかを計算してみたほうがいいでしょう。

また、ストックしやすい形状なのでついついまとめ買いしてしまいがちですが、プラスチックの内袋は長期間の保存には向きません。

製造日を確認し、遅くとも1年以内(できれば半年くらい)で飲める分だけを買うようにしたほうがおいしく飲めるはずです。

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