ワインと料理を合わせる

ワインに合う料理の考え方・作り方 

赤ワインと色々な料理
記事の目次

ワインと料理は組み合わせの相性が大事

ワインは料理と一緒に飲まれることの多い「食中酒」ですが、それぞれをどれくらい楽しめるかは組み合わせの良し悪しで大きく変わります

相性の良いペアリングは「マリアージュ」とも呼ばれ、お互いの魅力を何倍にも高めることができます。

しかし、相性の悪いペアリングにしてしまうと、高めあうどころか逆に楽しめるはずだった魅力までそがれてしまうなんてことも

ここでは、ワインに料理を合わせる場合の基本的な考え方や作り方を、ポイントごとにチェックしてみましょう。

組み合わせを考える時にチェックする基本的なポイント

共通点のある組み合わせになっているか

ワインと料理を合わせる際、一番重要なポイントは「双方に共通する味わいがあるか」ということです。

交互に口に運んだとき、2つの味わいがまるでひとつのもののように振舞うことを「マリアージュ」と言いますが、これはお互いの共通する味わいを鍵として起こります。おいしいワインと料理でも、まったく共通点のないもの同士ではマリアージュは起こらないのです。

ただしもちろん、共通点が多ければ多いほど良いというものでもなく、あまりにも似たような味わい同士だとかえって退屈な組み合わせになってしまう恐れもあります。

酸味、渋み、苦味、旨みなどの味わいや、濃厚さ、軽やかさなどの印象まで含め、1~2点の共通項があるくらいのバランスがよいでしょう。

味わいの特徴 その特徴を持つ主な食材・料理
酸味

トマト

フレッシュ系のチーズ

レモンやライムなどの柑橘類

酸味のあるフレッシュフルーツ(イチゴなどベリー類や南国系)

渋み

薄皮つきのクルミやアーモンドなどナッツ類

若いフルーツ

熟成の進んだチーズ

ブロッコリーや菜の花など蕾を食べるタイプの野菜

苦味

山菜

一部の葉物野菜・緑黄色野菜

動物や魚の肝・内臓

カビ系のチーズ

チョコレート

旨み

肉類・チーズ類全般

貝類・魚類

キノコ

トマトや白菜など一部の野菜

食材の特徴を生かした調理をする

食材自体に共通する味わいがある場合は、それを生かした調理をするようにします。

例えば、酸味のあるワインに合わせるためフレッシュなトマトを使用したとしても、火を通しすぎてしまうと酸味が飛んでしまうことがあります。

逆に、十分な共通点がない場合は調理方法や味付けによって補うと良いでしょう。調味料の追加はもちろん、焼き目をしっかりつけて香ばしさを出したり、煮詰めて濃厚さを強調するなど、調理方法自体によっても調整することができます

味や香りの強さが同程度の組み合わせなっているか

組み合わせるワインと料理の味や香りの強さは、できるだけ同程度のものでなければいけません。

ワインにはどっしりと力強いものから、儚く繊細な口当たりのものまでいろいろなバリエーションがあり、食材や料理にも風味の強弱があります。

このパワーバランスに大きな偏りがあると、弱いほうが強いほうの陰に隠れてしまい、十分に楽しむことができません。

例えば、非常に香りの強いワインに淡白で微かな香りを楽しむ食材を合わせたり、濃厚でこってりとした料理に繊細な味わいのワインを合わせてはいけないのです。

片方を楽しむためならもう一方は犠牲になってもよい、という場合でない限り、味わいの強さは合わせたほうが良いでしょう。

調理をする場合のポイント

料理のインパクトの強さは、素材の組み合わせや増減によって調整できます。
味の強い素材をあえて弱めに調整して使用するのであれば、淡白な素材と組み合わせたりスープの具材にして出汁として溶かし出すのが有効です。

逆に味わいを強化する場合は、火をしっかり通して水分を飛ばしたり調味料を追加することで簡単に調整できます。

ただし、この時スパイスやハーブなど香りが強すぎる素材・調味料を多用すると、せっかくのワインの香りをかき消してしまう恐れがあるので注意が必要です。

それぞれの長所と短所を考慮する

長所を引き立て短所を打ち消す組み合わせを目指す

片方がもう片方の、もしくはお互いがお互いの長所を引き立てる組み合わせは、良いマリアージュを起こせる可能性が高いと言えます。

長所を引き立てるというのは、例えば料理の旨みをワインがより強く感じさせたり、ワインの香りが料理によって感じやすくなる、という関係を指します。

また、どちらか、もしくはお互いが相手の短所を打ち消せることは、場合によっては長所の強調よりも重要なポイントとなります。生臭さのある魚介類、脂っこい料理、酸味や渋みの非常に強いタイプのワインなど、味や香りに何らかの短所があるワインや料理は少なくありません。

しかし、例えば脂っこい料理と渋み(タンニン)の強い赤ワインを組み合わせると、タンニンが脂肪と結合して和らげられ、口内もさっぱりさせることができます。

また、生臭さのある魚介類と刺激的な酸味を持つ白ワインの組み合わせであれば、唾液の増加によって臭みが洗い流され、その爽快感で酸味のきつさがかえって好印象になることも。その短所に苦手意識のある人にとっては、それを打ち消してくれるペアリングはまさになくてはならない組み合わせだと言えるでしょう。

長所を台無しにしたり短所を強調する組み合わせは避ける

組み合わせることで、どちらか、もしくは両方の短所が強調されてしまうもの同士をペアリングするのは避けましょう。

例えば、生臭い食材と甘口の赤ワインを合わせると、多くの場合口の中に残った生臭さが甘みによって強く感じられるようになってしまいます

また、逆に互いの長所を打ち消してしまう組み合わせも問題です渋みの強い赤ワインと瑞々しい生野菜を合わせたりしたら、ワインの香りや複雑さはかき消され野菜にはえぐみだけが残ってしまうでしょう。

こうしたペアリングをするくらいなら、間をあけて別々に飲食したほうが確実に楽しめるはずです。

調理をする場合のポイント

長所・短所で組み合わせを考える場合は、まずは当然ながらそれぞれの長所・短所を把握しておく必要があります。

こう書くと難しく思えるかもしれませんが、要は自分が好きだと思うポイント・苦手だと思うポイントを思い浮かべてみればよいのです。味や香りの好みは人それぞれなので、ワインや料理の長所・短所をどこだと捉えるかも人によって異なる場合があります。

誰かに振舞う場合は相手の好みを考慮する必要がありますが、自分が楽しむのであればあくまで自分の感覚を基準にできます。その上で、基準とするワインの長所を引き立て、短所を打ち消す組み合わせになる料理を考えればよいのです。

例えば「このワインは渋みが強すぎる」と思うのであれば、渋みを抑える脂質の多い素材や調理方法を選び、「このワインは繊細な味わいや香りが好きだ」と思うのであれば、淡白でワインの特徴を邪魔しない料理を選ぶとよいでしょう

また、調理方法によって素材のときとは異なる性質になるケースも少なくありませんので注意が必要です。

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