悪臭がしてもセーフなワイン・アウトなワイン 嫌なにおいの種類と対処
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楽しみにしていたワインを開けてみたら、なんとなく変な臭いがする・・・。ワインの悪臭問題は、場合によっては一発で気持ちを落ち込ませるくらいのインパクトがありますね。
変な臭いがするワインなんて飲みたくない、と思うかもしれませんが、実は対処の仕方によっては回復可能なものもあるんです。
ここでは、臭いの種類ごとに致命的かどうか、回復できるとしたらどうしたら良いのかなどをチェックしてみましょう。
カビくさい
コルクの内側や側面にカビが見えているケース
完全にアウトです。
通常、ワインはコルクによる密封によって、空気中に漂う菌類などの悪影響から守られています。カビに対しても同様で、ワインセラーがかび臭かったりボトルやコルクの外側にカビがびっしりついていたりしても(よくあることです)、本来であれば中のワインには何の影響もありません。
しかし、コルクの内部を通ってボトルの内側までカビが入りこんでしまっているなら話は別です。カビは悪臭だけでなく、人にとって害となる物質も作り出します。臭いからカビの存在に気付けるほど繁殖してしまっている場合、ワイン自体も安全ではないと考えるべきでしょう。
残念ですが、そのワインは飲むのはもちろん料理などにも利用せずに(菌そのものはともかく、有害物質は熱で無害化できるとは限りません)、そのまま廃棄してください。
コルクの内側や側面のどこにもカビがないケース
場合によっては回復可能です。
コルクの内側のどこにもカビの姿がなく、ワインそのものの見た目にも異常(粘ついている、濁っている、滓とは違う浮遊物が見えるなど)がない場合は、カビではなくブショネ(コルク臭)である可能性があります。これはコルクに含まれるTCA(トリクロロアニソール)という化学物質によって引き起こされる悪臭で、カビと違って人体にとって害はありません。
ただ、プール一杯分の水(500t)に濃縮した液を一滴(0.05mg)垂らしただけで感じ取れるレベルといわれる強い悪臭を持つ物質なので、影響が強く出ている場合はおいしく飲むのが難しくなってしまいます。
この場合は、ポリエチレンのフィルム(一部の食品用ラップなど)や袋をワインに沈めて軽く攪拌してみましょう。発生しているのが本当にブショネであれば、嫌な臭いはうそのように消えてしまうはずです。
これは、TCAがポリエチエンの構造の中にすっぽりはまってしまうから。良い匂いも多少一緒に消えてしまいますが、ワインそのものを諦めるよりはかなりマシと言えるのではないでしょうか。
逆に、これでまったく改善しない場合は、ブショネでなく本当にカビが発生している可能性が高いので、飲むのはやめたほうが良いでしょう。
- 「ブショネ」について詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:ブショネってなに? ワインの悪臭とコルクの関係
湿ったダンボール、生乾きの洗濯物の臭いがする
場合によっては回復可能です。
これも、カビの臭いと同じくブショネの可能性があります。ポリエチレンでの処置を試してみましょう。
除光液や酸っぱい感じの臭いがする
料理などに利用可能です。
ぴりぴりする刺激臭や酸っぱい臭いがするワインは、酢酸菌という酢を作る菌が発生してしまっている可能性があります。アルコールは酵母菌が糖を分解して作り出す物質ですが、このアルコールを分解して酢酸と二酸化炭素に変えてしまうのが酢酸菌です。
亜硫酸塩(酸化防止剤)の添加が不十分だったか、流通中に過剰な高温にさらされることで発生し、アルコールを消費するだけでなく味や香りも台無しにしてしまいます。
軽度であれば無視して飲むこともできますが、飲めないほどであれば無理をせず処分するか、煮込み料理など加熱する方法で利用しましょう。
古い家やホコリのような臭いがする
ひどい場合は飲用不可。
主に赤ワインに発生する臭いで、ブドウの皮に付着していたバクテリアの影響で発生します。
これも亜硫酸塩(酸化防止剤)の添加が不十分だったか、流通中に過剰な高温にさらされたことが原因で、ごく軽微であれば飲めないことはありませんが、基本的には腐敗とみなして処分してしまったほうが良いでしょう。
腐った玉ねぎ、焦げたゴム、硫黄の臭いがする
原因によって回復可能。
野菜が腐敗したような臭いや硫黄っぽいタイプの悪臭は発生原因が複数あり、それによって回復できるかどうかが変わってきます。
一番多いのは、酸素が不足した状態で長く置かれたことによる「還元臭」。醸造時の問題から発生しますが、有機農法やビオディナミなど自然派ワインでは正常な状態でも時々見られるため、そうしたワインの特徴的な香りの一種として片付けられることも。
この原因の場合は、デキャンタなどに移して数時間放置するか、軽く攪拌して酸素と触れ合わせることで解消できます。
ただ、それ以外の原因、例えば白ワインで不純物を十分取り除かずにアルコール発酵を行った場合や、乳酸菌などが繁殖しているケースなどは、解決しないどころか悪化することも少なくありません。
数時間放置して改善しない場合は、諦めたほうがよいかもしれません。
ピーマンの臭い、猫のおしっこのような臭いがする
回復可能です。
ある種の白ワインでは、草を踏んだときのような青い匂いが感じられることがあり、それが過剰になったりおかしな変化をすると、ピーマンに似た嫌な青臭さ、猫のおしっこやおならのようなアンモニア臭になることがあります。これは特にソーヴィニヨン・ブランという白ブドウ品種で顕著で、軽微であればこのブドウ独特の香りとして扱われることもあります。
ただ、もし飲めないほどひどい状態だったとしても、我慢したり諦める必要はありません。この臭いの原因物質は銅と反応しやすい性質があり、銅製の食器と触れ合わせることであっさりと消滅してしまうのです。
よく磨いた銅食器があれば最高ですが、なければしっかり洗って消毒した10円玉でもかまいません。デキャンタにワインを移して10円玉を投入し、軽く2~3回振ってやるくらいの簡単な処置で、問題なく飲める程度にまで回復することができます。
ソーヴィニヨン・ブランの白ワインを頻繁に飲む方なら、ボトルに直接差し込める長めの銅のマドラーを購入しておくと良いかもしれませんね。