ワインの基礎知識

ソムリエってどんな職業? 定義や働き方、ソムリエのできることなど

ワインボトルを持った男性
記事の目次

ソムリエとはワインに関するスペシャリストのこと

ソムリエとは、ワインの管理や購入、サービスなどを行う、ワイン全般に関するスペシャリストです。

ワインに関する正しい知識と技術を持ち、客とワインとの出会いをサポートします。

飲食店はもちろん、小売店や仲買いなど、ソムリエが活躍する舞台はワインに関係するあらゆる場面に広がっています。

ソムリエの仕事はワインの開栓やサービスだけじゃない

ワインの開栓やサービスを正しく優雅に行う

ソムリエは、レストランなどで客のテーブルに着き、ワインの開栓やサービスをこなすことができます。

白い布を片手にかけ、よどみない手つきでさっとコルクを抜いて片手でワインをサービスする姿は、もっとも一般的なソムリエのイメージなのではないでしょうか。

固着してしまって異常に固いコルクや、逆に脆くなって細心の注意が必要なコルク、瓶の底に沈殿物(滓/おり)が溜まっていて振動を加えずに開けなければいけないボトルなど、初心者はもちろん上級者でも苦労するような開栓作業も、ソムリエはスマートに行えなければなりません。

開栓後も、状態に合わせて他の容器(デキャンタ、キャラフェ)にワインを移したり、片手でワインを注ぐなどのサービスを手際よく進める必要があります。

知識はもちろん、確かな技術が要求される職業なのです。

お店の料理や顧客の好みに合ったワインを選ぶ

ワインの選定は、ソムリエの仕事の中でも特に重要なもののひとつです。

現代ではワインの産地は世界中に広がっており、特徴も価格も異なる無数の銘柄が流通しています。

また、ワインは生産年によって品質が異なるお酒であり、高品質なものだと数十年以上も熟成を続ける銘柄もめずらしくありません。

つまり、数え切れないほどの銘柄の特徴を知っているだけでなく、年によって異なるデータも数十年分把握していなければいけないのです。

ソムリエは、その膨大な選択肢の中から店の料理やコンセプトに合うワインを買い付け、さらに提供された料理や客の好みに合わせて提案できねばなりません

ワインを適切に保管したり扱うことで価値を高める

ソムリエは、ワインを長期間に渡って正しく保管・熟成することでその価値を高めることができます。

多くのワインは、熟成が進むことで味や香りが向上し、価値が高まります。

しかし、上手に熟成させるには環境を整えたり適切なケアを行う必要があり、それは高品質なワインほど繊細で長期間に渡る作業になります。

実際、本来は価値が高いワインであっても、それがアマチュアの手で保管されたものの場合は品質に疑問が生まれるため、大きく価値が下がるのが普通です。

正しい知識と確かな技術を持つソムリエによって管理されることは、長い熟成期間を経たワインが正当な評価を得るための必要事項といえるでしょう。

ソムリエはワインに関連する様々な場所で働いている

レストランなど飲食店でワインをサービスしているイメージが強いソムリエですが、実は販売店や仲介業者、保管業者など、裏方でもその能力を発揮しています。

レストランやバーなどの飲食店

レストランやワインに力を入れるバーなどは、ソムリエのもっとも重要な職場となります。

客のテーブルを担当し、ワインの相談に乗ったりサービスを行う姿は、ワインに関するスペシャリストとして憧れの対象となっています。

また、その店の方針や平均予算、料理などからふさわしいワインリストを作成し、仕入れたワインの保管や管理を行うのもソムリエの仕事です。

デパ地下やワイン専門店などの小売店

デパ地下やワイン専門店など、個人相手の小売店でもソムリエが活躍しています。

世界中で無数に生産され、しかも年々変化しているワインの中から、なにを仕入れて店頭に置くかを決めるには、プロの知識や判断力が不可欠です。

また、お店を訪れる人々は、全員が自分だけで目当てのワインを選べるわけではありません。

自分の好みを把握していない、もしくはイメージに合うワインがどれかわからない客の話を聞き、相手にあったワインを提案するソムリエは、多くの人にとって心強い味方です。

ワインの仲買い、仲介業者

専門的なところでは、ワインの生産者と小売店・飲食店の間をつなぐ「仲買い」「仲介業者」も、ソムリエの力を必要としています。

ソムリエを雇っていない店の相談役ももちろんですが、繊細なお酒であるワインをしっかりと管理し、商品価値を損なうことなく流通させるためには、正しい知識と技術を持つスタッフが目を光らせていなければいけません。

貴重なワインの保管業者

ワインの保管業者も同様に、ワインを正しく取り扱えるソムリエの能力を必要としています。

普通のワインよりも慎重な扱いを必要とする長期熟成中のワインや、非常に稀少で一本数百万円もの値段がつくレアボトルなどは、十分な知識と技術を持つソムリエでなければ恐ろしくてとても扱えないでしょう。

顧客としても、ワインのプロが管理してくれると思うからこそ、大切なワインを安心して預けられるのです。

ソムリエになるには

日本のソムリエ資格は国家資格ではなく、民間の組織(「日本ソムリエ協会(JSA)」「全日本ソムリエ連盟(ANSA)」)が管理する「呼称資格」です。

正式にソムリエの資格を取るためには、どちらかの組織で定められた試験や講義を受ける必要があります。

日本ソムリエ協会の場合は、ワインに関わる職業に一定期間従事していなければそもそも試験を受けることができませんが、自分自身で勉強し受験するため費用は抑えられます

それに対して全日本ソムリエ連盟のソムリエ資格は、講義や通信講座などを受講せねばならないため時間も費用も多くかかってしまいますが、実務経験は問われないため成人なら誰でも取得することができます

ソムリエになるなら、自分の経験や経済的・時間的な状況に合わせて、どちらの資格を取るかを選択することになります。

ちなみに、資格を取らずにソムリエを自称することについては、なにか罰則が決まっているわけではないので不可能ではありません。

しかし、求められる知識や能力は素人が独学で身に着けるにはあまりにも専門的で、かつ責任も重大になります。

職業としてソムリエを目指すのであれば、正式な資格取得を目指したほうが間違いないといえそうです。

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