ロゼワインができるまで ブドウがロゼワインになるまでの基本的な工程
記事の目次
ロゼワインは赤・白ワインの中間の造り方をする
ロゼワインの造り方はちょっと複雑で、簡単に言うと「途中まで赤ワイン、途中からは白ワインの造り方」をします。
赤ワインは、ブドウの果汁と果肉・種・皮などの固形部分を一緒にアルコール発酵させ、色や渋みなどをワインに移します。
一方白ワインは、最初に果汁と固形部分を分離し、果汁だけの状態にしてからアルコール発酵を始めます。
そしてロゼワインは、最初にちょっとだけ果汁と固形部分が一緒の状態で発酵させ、発酵途中で分離して残りの発酵を完了させます。
こうすることで、色や渋みなどの成分が少しだけワインに移り、ロゼワインの色や風味を生み出せるのです。
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ロゼワイン造りの基本工程
ロゼワインの造り方は大きく分けて2つ。
「すごくゆっくり搾る方法(直接圧搾法)」と「発酵途中で分離する方法(セニエ法)」です。
どちらも発酵終了後は同じ工程ですが、発酵前に違いがあります。
ブドウを収穫する
ロゼワインは、赤ワインと同じように黒ブドウから造られます。
ロゼワイン独特のあのピンク色は、皮に含まれている赤い色のポリフェノール(アントシアニンなど)によって発色します。
時間をかけてゆっくり搾る(直接圧搾法の場合)
ロゼワインを造る2つの方法のうちの一つは、「果汁を搾るときに、あえてゆっくり時間をかける」というものです。
ブドウの皮には天然の酵母(アルコール発酵を起こす菌)がついているので、ゆっくり搾っている間にもちょっとだけ発酵が始まります。
この時に発生するアルコールに溶ける形で、皮や種から果汁へ、色や渋みのもとである各種ポリフェノールが溶け出してくるのです。
この造り方だと、色や渋みが平均的に淡い、どちらかというと白ワインに近いタイプのロゼワインに仕上がります。
発酵の途中で皮や種と分離する(セニエ法の場合)
ロゼワインを造るもう一つの方法は、「途中まで皮や種などの固形部分と一緒にした状態で発酵を進め、途中で分離する」というものです。
発酵中も固形部分と一緒にしておくことで色や渋みがワインに移りますが、発酵が終わるまでそのままにしておくとロゼではなく赤ワインになってしまいます。
そこで、色や渋みがちょうど良くワインに移ったと判断した時点で搾りにかけて分離し、続きは果汁だけで発酵させるのです。
この手法の場合、分離するタイミングにもよりますが比較的色や渋みの濃い、どちらかというと赤ワインに近いタイプのロゼワインに仕上がります。
残りのアルコール発酵を完了させる
途中までアルコール発酵が進んだ果汁を固形部分と分離したら、残りの発酵を完了させます。(ここからはどちらの手法でも同じ工程になります)
赤ワインと違って色や渋みの成分の抽出が終わっているので、基本的に白ワインと同じように低温で発酵が進みます。
ステンレスタンクや樽で熟成させる
発酵が終了したワインは、酵母の残骸などの浮遊物(滓/おり)を取り除いたあと、樽やタンクに移されます。
ここで数週間~数ヶ月の間熟成させることで、味や香りが落ち着き、酸味・渋みなどの刺激がまろやかになって飲みやすくなります。
固形部分との接触期間が短く、赤ワインに比べてタンニンなどポリフェノールの量が少ないロゼワインは、一般的に短期間の熟成で出荷されるものが多くなっています。
例外的な手法が許されるロゼ・シャンパーニュ
ヨーロッパ(EU)のワイン法に従う産地では、通常「赤ワインと白ワインを混ぜてロゼワインにする」という手法は許可されていませんが、それが例外的に許されているのがフランス・シャンパーニュ地方のスパークリングワイン、シャンパン(シャンパーニュ)です。
シャンパンは、「様々な原酒をブレンドして絶妙な味や香りを生み出すこと」を最大の特徴としており、ワイン法が成立する以前から赤・白の原酒ワインのブレンドが行われていました。
そのため、現在でも例外として、この手法を使用することが許可されているのです。
通常のロゼワインは、搾っている途中や発酵中に色や味わいがどれくらい移ったかを見極めねばならず、微妙な調整が難しいとされています。
しかし、発酵後に赤・白ワインをブレンドできるロゼ・シャンパーニュは、職人が思うとおりのワインに仕上げやすく、絶妙な色や風味を誇る製品も少なくありません。
- シャンパンをはじめとするシャンパーニュ製法で造られたワインについて詳しく知りたい方はこちら
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ロゼワイン造りの特徴
使用するブドウは赤ワインと同じく黒ブドウ品種
ロゼワインは、赤ワインと同じく皮が赤や黒の「黒ブドウ」を使用して造られます。
その皮から色の成分を一部だけ移すことで、あの特徴的なピンク色の水色になるのです。
また、固形部分の成分を完全に移す赤ワインほどではありませんが、渋みや旨みといった果汁由来ではない味わいも生まれます。(ただし、ロゼ・シャンパーニュだけは黒ブドウと白ブドウ両方を使用します)
固形部分と接触している時間で色や風味の濃さを調整
ロゼワインの色や風味の濃さは、皮や種といった固形部分と果汁がどれくらいの時間接触していたかで決まります。
ロゼワインは、一言で「ピンク色」といっても、薄いオレンジのような淡い色合いのものから、赤に近い濃い色合いのものまで様々です。
これは、例外的に赤・白ワインのブレンドで造るシャンパンを除くと、全て「発酵のどの時点でワインを分離するか」で調整しています。
当然、長く接触していたほうが成分がより多く移るため、味や色も濃くなっていきます。
職人は、色や味の変化を細かくチェックし、想定した濃さになったと判断した時点で搾りにかけるのです。
ただし、色については発酵や熟成の工程中も変化してしまうため、狙った通りの仕上がりにするのはかなり難しいとされています。
基本的に長期間の熟成を行わずすぐに出荷される
ロゼワインは、一部の例外を除いてあまり長期間の熟成を行わずすぐに出荷されます。
これは、ロゼワインにはタンニンなど抗酸化作用のあるポリフェノールが赤ワインに比べてあまり含まれておらず、長期熟成に向いていないためです。
また、伝統的にバカンスなどで気軽に飲めるワインとして扱われてきたことから、そもそもあまり高い品質や深い味わいが求められていない、という事情もあります。
しかし近年、醸造技術や設備の発達から比較的長い熟成を行えるようにもなってきており、古い価値観から脱却した高品質なロゼワインも造られるようになってきています。
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