ワイン初心者のためのラベルの読み方解説 理解するためのポイント
記事の目次
ワインのラベル(エチケット)の意味
ワインのラベル(エチケットとも呼ばれます)には、そのワインの情報が法律などに基づいて書かれています。
そのため、ラベルを読めるようになると「まだ飲んだことのないワインがどんなワインか」を推測できるようになります。
ワイン好きやソムリエでも、世の中に存在するワインのほとんどは飲んだことのないワインです。
しかし、彼らはラベルの読み方を知っているため、ある程度正確に求める特徴のワインを探り当てることができるのです。
全部読めるようになるのは上級者でも無理
現在では世界中でワインが造られているため、初心者はもちろん、ワイン上級者でも全てのラベルの内容を完全に読み取るのは不可能です。
輸出用のワインやタンクで運ばれてきて輸入先で瓶詰めされるワインは別として、ラベルの情報は基本的に生産地の言語で書かれています。
英語をはじめとして、フランス語、スペイン語、イタリア語、中国語などあらゆる言語を読めなければ全てを把握できるとはいえませんが、そんな人はほとんどいないでしょう。
また、世界中で毎年増える産地や生産者などを、逐一全て覚えていくわけにもいきません。
ちょっとずつわかる範囲を増やしてみよう
そもそも、ワインの特徴を推測するだけなら、ラベルに書いてある全てを理解する必要はありません。
記載されている中でも特に重要度が高いポイントを押さえることができれば、味や香りの方向性くらいなら十分予測することができます。
最初は各項目ごとの、特に代表的な固有名詞を中心に覚え、あとは実際にいろいろなワインを飲みながらわかる範囲を広げていけばよいのです。
優先順位高めの「ブドウ品種」と「生産地」
初心者がまず読めるようになったほうがよい情報としては、「使われているブドウの品種」と「そのワインの生産地」があります。
この2項目が理解できるようになるだけでも、そのワインがどんな特徴を持っているかを大まかに推測できるようになります。
ブドウ品種がわかればワインの基本的な性質がわかる
ワインはブドウ果汁だけを原料として造られるお酒ですので、どんな品種を使っているかが味や香りを大きく左右します。
ワイン用のブドウは長い歴史の中で品種改良が進められ、現代でもなお新しい品種が生み出され続けているところですので全て把握するのは不可能に近いのですが、はじめのうちは代表的な10種類程度を押さえておけばとりあえず大丈夫! それぞれの特徴を把握するのはもちろんですが、できればカタカナ以外の表記でも読めるようになりましょう。ブドウ品種名 | 主な特徴 |
---|---|
カベルネ・ソーヴィニヨン Cabernet Sauvignon |
渋みが強く複雑な香りを持つ長期熟成タイプ 温暖な産地だと果実味たっぷりのものも |
ピノ・ノワール PinotNoir |
華やかな香りとフレッシュな酸味を持つ 育つ場所によって特性が大きく変化 |
メルロー Merlot |
柔らかな口当たりのやさしい品種 単一使用のワインはやや甘めのものが多い |
シラー(シラーズ) Syrah(Shiraz) |
味もアルコールも強いインパクト十分なパワータイプ フランス南部ではスパイシーな香りが特徴に |
テンプラニーリョ Tempranillo |
繊細な風味ですっきりと飲みやすい 長期熟成向きの高級銘柄多め |
シャルドネ Chardonnay |
豊かな果実味とフレッシュな香りを持つ「白の女王」 育つ場所によって特性が大きく変化 |
ソーヴィニヨン・ブラン Sauvignon Blanc |
はじける果実味と環境によって変わる酸味 青草に例えられるさわやかな香りが特徴 |
リースリング Riesling |
柑橘系タイプの鮮烈な酸味を持つ 「白い花」と表現される上品な香り |
トレッビアーノ(ユニブラン) Trebbiano(Ugni blanc) |
酸味が強くカジュアルに飲める早飲みタイプ ブレンドやブランデー原料として活躍 |
甲州 Koshu |
繊細な香りと印象的な渋みが特徴 スパークリングワインに良品が多い |
- それぞれのブドウ品種について詳しい特徴を知りたい方はこちら
- 関連記事:カベルネ・ソーヴィニヨンのワインの特徴
- 関連記事:ピノ・ノワールのワインの特徴
- 関連記事:メルローのワインの特徴
- 関連記事:シラーのワインの特徴
- 関連記事:シャルドネのワインの特徴
- 関連記事:リースリングのワインの特徴
- 関連記事:ソーヴィニヨン・ブランのワインの特徴
- 関連記事:甲州のワインの特徴
産地がわかればワインの方向性がわかる
ブドウは、植えられた畑の地質や気候など育つときの環境によって性質が大きく変化する果物なので、「どこのワインか」はそのワインの方向性を推測する大きなヒントです。
また、生産地によっては製法や使用できるブドウ品種などに細かい決まりごとがあることも多く、その場合はどこのワインかを聞けば自動的にどんな特徴のワインなのかがわかります。
これも細かいものまで含めると無数に存在するのですが、最初はフランスやイタリアなど主要な生産国名から覚え、慣れてきたらボルドー地方やトスカーナ州などちょっとずつ細かい区分へと範囲を広げていくと良いでしょう。
ワイン生産地 | 主な特徴 |
---|---|
フランス | 自然な変化を尊重するため年度ごとの差が大きい 産地ごとに特徴が大きく異なるが基本的に複雑で上級者向け |
ボルドー地方 | 複数のブドウをブレンドする複雑で長期熟成向きワイン 「シャトー○○」のように生産者名で分類・格付けされている |
ブルゴーニュ地方 | 単一品種で果実味豊かなフレッシュなワイン 地区や村、畑の名前で分類・格付けされている |
イタリア | 温暖な環境のため果実味豊かで飲み応えがある 品質に比べて価格が安くテーブルワインも初心者向け |
トスカーナ州 | 地域差は大きいがバランスがよい赤ワインが中心 州外産、国外産のブドウを使ったブレンドが目立つ |
シチリア州 | 価格に対して品質の高い白のテーブルワインが多い 魚介類との相性も抜群 |
ドイツ | 寒冷なので基本的に繊細で軽い飲み口のワイン中心 甘口ワインならまずここから試すべき |
スペイン | 味もアルコール度数も濃厚な飲み応えたっぷりなタイプ 急成長中なので掘り出し物も少なくない |
アメリカ | カジュアルなお手頃ワインと高級ワインが同居している 果実味豊かな飲み応えあるタイプが多い |
チリ | 単一品種でブドウの特徴が良く出たフレッシュタイプ中心 全体的に価格は低めだが品質は十分で初心者向け |
オーストラリア | 果実味たっぷりのシンプルでわかりやすいおいしさ カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズのブレンドが有名 |
- ブドウが育つ環境がワインに与える影響について詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:テロワールって何のこと?
ラベルから読み取れる情報からこんなことがわかる
品種や生産地以外にも、ラベルにはいろいろな情報が載っています。
それぞれにどんな意味があるのかを軽くチェックしてみましょう。
アルコール度数
そのワインにどれくらいの比率のアルコールが含まれているかがパーセンテージで示されています。
一般的なワインは11~14度くらいですが、もっと低いもの・高いものもあります。
同じ量を飲むのであれば、当然ながらアルコール度数が高いほうが酔いやすくなります。
また、度数が低いほうが口当たりが軽い飲みやすいワイン、高いほうが飲み応えがあるどっしりとしたワインになりがちです。
生産年(ヴィンテージ)
そのワインに使用されているブドウが何年に収穫されたものかを表します。
全てのワインのラベルに記載があるわけではなく、複数年のブドウを使用するなど、条件的に表示していない(できない)ワインもたくさんあります。
ブドウは育った環境に品質を大きく左右される果物なので、天候に恵まれた年のほうがそうでない年よりも質の良いワインになりやすくなります。
また、そのワインがどれくらい熟成を続けているかも読み取れます。
- ブドウの生産年(ヴィンテージ)について詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:ヴィンテージワインってどういうもの?
生産者(ワイナリー、会社名など)
誰が(どの会社が)そのワインを造っているかです。
ブドウの育て方、醸造設備や技術、ブレンド、どんなワインを理想とするかなど、ワイン造りにおいて生産者がコントロールできる部分も少なくないため、最終的にどんな仕上がりになっているかが推測できます。有名な醸造家や大きな会社など、生産者がそのままブランドとして機能しているワインも少なくありません。
ボディ(フルボディ・ミディアムボディ・ライトボディ)
主に赤ワインの飲み応えを示します。
フルボディが飲み応えたっぷりの濃厚で重いワイン、ライトボディがすっきりした飲み口のシンプルで軽いワイン、ミディアムボディがそれらの中間です。
赤ワイン全てに記載があるわけではなく、むしろラベルが日本語ではない(瓶詰め後に輸入された)ワインの場合はお店のポップや説明文頼みになるケースも少なくありません。
具体的な数値基準などがあるわけではないのであくまで目安ですが、イメージに近いワインを選ぶのに大きなヒントとなります。
- ワインのボディについて詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:ワインのボディって結局何なの?
- 関連記事:フルボディのワインってどんなワイン?
- 関連記事:ミディアムボディのワインってどんなワイン?
- 関連記事:ライトボディのワインってどんなワイン?
甘口・辛口
そのワインが甘口か辛口か(どれくらいの糖分が含まれているか)を示します。
主に白ワイン向けの表現ですが、軽めの赤ワインにも記載されているケースがあります。
普通のワイン(スティルワイン)の場合は具体的な数値基準がなく、あくまで生産者などの主観的評価になります。
そのため、特に甘口・辛口の中間くらいの製品の場合はかなりぶれがあるようです。
ただ、スパークリングワインに関しては明確な基準によって表示が分けられている国が多く、かなり正確に甘さを推測できます。
スパークリングワインの甘辛口の度合いに関する表示 | |
---|---|
含有糖分量の基準 | ラベルの表示 |
無糖: 1リットル当たり3g未満 (平均的には1~2g程度) |
Brut Nature(ブリュットナチュール) Non Dose(ノンドセ) Dosage Zero(ドサージュゼロ) Naturherb(ナトゥーアヘルプ) など |
極辛口: 1リットル当たり6g未満 (平均的には3~4g程度) |
Extra Brut(エクストラブリュット)など |
辛口: 1リットル当たり12g未満 (平均的には5~7g程度) |
Brut(ブリュット) など |
中辛口: 1リットル当たり12g以上17g未満 |
Extra Dry(エクストラドライ) Extra Trocken(エクストラトロッケン) Extra Seco(エクストラセッコ) など |
中甘口: 1リットル当たり17g以上32g未満 |
Dry(ドライ) Trocken(トロッケン) Seco(セッコ) Sec(セック) など |
甘口: 1リットル当たり32g以上50g未満 |
Demi Sec(ドゥミ・セック) Halbtrocken(ハルプトロッケン) Semi Seco(セミ・セッコ) Half Sweet(ハーフ・スウィート)など |
極甘口: 1リットル当たり50g以上 |
Doux(ドゥー) Dolce(ドルチェ) Sweet(スウィート) など |
※生産国、産地などにより多少の違いがあります
- スパークリングワインの甘口・辛口について詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:甘口スパークリングワインとは
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