オーパス・ワンのワイン 二人の巨匠が目指した赤ワインの芸術
記事の目次
オーパス・ワンとは
オーパス・ワン(Opus One)は、アメリカ・カリフォルニア州にある「オーパス・ワン・ワイナリー(Opus One Winery)で造られるワインです。
ヨーロッパの有名産地よりも劣るとされていた頃のカリフォルニアに可能性を見出したフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵と、カリフォルニアワインの第一人者であるロバート・モンダヴィ氏(いずれも故人)によって企画・創設されました。
カリフォルニアワインに関して、もっとも早い時期に成功を収めた高級ワイナリーのひとつであり、現在のような高評価がなされるようになったきっかけともみなされています。
カベルネ・ソーヴィニヨンを主体として複数の黒ブドウをブレンドするボルドースタイルの赤ワインで、(年度ごとに特徴が変わるものの)基本的に深いコクと複雑でスパイシーな香りが特徴です。
日本ではバブル期に流行った高級ワインのひとつでもありますが、イメージだけで大量消費されたり投資用として取引されるようなことはなく、現在でも「知る人ぞ知る高品質ワイン」として扱われています。
オーパス・ワンの何がすごいのか
ヨーロッパの伝統と「新世界」の融合
オーパス・ワンは、伝統的なヨーロッパワイン世界と、大きな可能性を秘めたヨーロッパ以外のワイン産地、いわゆる「新世界」の合作という点で注目に値します。
現在では、ワイン世界の新旧の壁を越えた生産者の行き来も珍しくなくなりつつありますが、オーパス・ワンが作られた1980年代当時には非常に例外的な、画期的な取り組みだったのです。
実際、二人の事業は今で言うところの「ベンチャー」であったと捉えられていますし、彼らが成功を収めたことで後に続く人々が続出しました。
ワイン界の世界的巨匠二人による合作
オーパス・ワンの創設者であるフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵は、現在フランスを代表するシャトーのひとつである「ムートン・ロートシルト(ロスチャイルド)」を復興した、20世紀におけるフランスワインの第一人者。
もう一人の創設者であるロバート・モンダヴィ氏は、カリフォルニアワインを現在の地位にまで高めた功労者のひとりです。
単なる「フランスのシャトー経営者」「アメリカの生産者」というだけでなく、それらのそれぞれトップに君臨する二人が手を取り合って造られたということが、当時だけでなく現在でもオーパス・ワンを特別なワインにしています。
ただ一銘柄だけのワイン造り
オーパス・ワンは、他の一般的な大ワイナリーのように何種類ものワインを造りません。
ボルドー地方のシャトーのように、労力を惜しまず丁寧に栽培されたブドウ、最先端の醸造技術を駆使し、彼らの理想を追求したワインとして「オーパス・ワン」一銘柄だけを造るのです。
オーパス・ワンは赤ワインであり、白ワインやスパークリングワインも造られていません。
あれこれ手を出すのではなく、ひとつの方向性を追求するその一途さも、高い評価をもたらす要因のひとつといえるでしょう。
(ただし、それ以外に一定の水準を満たさなかった原料・原酒を使用した格下のワイン、いわゆるセカンドワインも一銘柄だけ造っています)
オーパス・ワンのワイン
オーパス・ワン(Opus One)
オーパス・ワン・ワイナリーが造るメインの銘柄です。カベルネ・ソーヴィニヨンを主体とし、カベルネ・フラン、メルロー、プティ・ヴェルド、マルベックをブレンドします。
オーパス・ワンとは「(音楽の)作品番号1番」という意味で、「一本のワインは交響曲のようなもの、一杯のワインはメロディのようなもの」というフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵の考えに基づきつけられました。
ブドウの出来や原酒の状態を確認しながらブレンドするため、比率はその年によってまちまち。
当然、味わいや特徴もブドウの収穫年度(ヴィンテージ)によって変わってきますが、基本的にはカベルネ・ソーヴィニヨンの特徴、つまりタンニンのきいた深いコクとスパイシーで複雑な香りが強く出ています。
若いうちはフレッシュな酸味と華やかな香りが際立ちますが、どちらかというと数年から十数年熟せさせてからのほうがおいしく飲める長期熟成型のヴィンテージが多くなっています。
価格はヴィンテージや購入する国によっても変動しますが、2018年時点の日本では50000~70000円前後の値がついているようです。
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オーバーチュア(Overture)
オーパス・ワンの候補として作られながら、最終的に使用されなかった原酒をブレンドして造られる、いわゆる「セカンドワイン」の銘柄です。
ブドウは育った年の気候などによって出来が大きく変わる果物ですし、発酵や熟成の具合も一定ではありません。
そのため、生産者名(シャトー名)を冠した銘柄一種類だけを造る方式を採用すると、どうしても「メインの銘柄では出せない品質のワイン」や「メインのブレンドでは使用しなかった原酒」などができてしまいます。
これらを使って「メインの銘柄とは違うけど」という前提で造られるワインが「セカンドワイン」で、基本的にメインよりも安価で販売されます。
オーパス・ワンとはブレンド比率も異なり、その年だけでなく別年度の原酒も使用するためかなり違った特徴を持ちますが、オーパス・ワンで表現される要素の簡略版のようなつくりになっています。
そのため、「オーパス・ワン=作品番号1番」に対して、「序曲」という意味のオーバーチュアという名がつけられました。
以前は飲食店向けにしか流通していませんでしたが、現在は個人でも購入可能です。
長期熟成をさせず、購入直後からおいしく飲めるのもうれしいポイント。
「オーパス・ワンは気になるけど、いきなり5万円以上もするワインは怖くて買えない」という方は、まずはこちらを試してみると良いかもしれません。
価格は20000円前後に設定されているものが多いようです。
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オーパス・ワンを購入する方法
2018年現在、少なくないワイン専門店や通販サイトでオーパス・ワン、オーバーチュアを購入することが可能です。
ほんの10年前までは現地に行くか、ごく限られた国内販売の機会を探さねばならなかったことを考えると、非常に手に入りやすくなっているといえるでしょう。
また、公式ホームページから直接買うことも可能です。
日本語に完全に対応していますし、一般的な通販サイトと同じ感覚で簡単に取引できます。
しかし、輸送料や税金、手数料などで最低でも10000円前後はプラスでかかってしまいますので、よほどたくさんまとめ買いするのでなければあまりメリットはないかもしれません。
もともとが高価なワインですので、極端に安くなっているもの、オークションサイトやフリマサイトなどで販売されているものは避けたほうが良いでしょう。