知っておきたいワイン用語

フルボディのワインってどんなワイン? ワイン上級者を虜にする「強さ」

赤ワイン
記事の目次

フルボディとは

フルボディのワインって、どんなワイン?

フルボディとは、「比較的味わいのしっかりとした、重い口当たりのワイン」を表す言葉です。ワインの特徴の中でも、「飲んだときの印象、インパクト」は単に「アルコールが強い・弱い」「渋みが強い・弱い」「香りが強い・弱い」といった指標だけではうまく表現できません。

そこで、飲んだときの重さを表すための言葉として「ボディ」という表現が使われており、そのレベルは「フルボディ」「ミディアムボディ」「ライトボディ」の3段階にわかれています。

「フルボディ」とはその3段階なかでも、もっとも重くどっしりとした口当たりのものを指す表現なのです。(ちなみに「ボディ」という表現は、基本的に赤ワインに対してだけ使用されます)

白ワインにも使用されるようになってきた「フルボディ」

通常、この「ボディ」という表現は赤ワインに対してだけ使用されます。(白ワインは一般的に甘口~辛口で分類されています)

しかし、最近では醸造技術の発達により非常に豊かなコクを持つ白ワインも造られるようになってきたため、「白ワインとは思えないしっかりした飲み応え」を表すために、例外的に「フルボディ」と表現されるものも出てきています。

白ワインに対しては、ミディアムボディ、ライトボディと表現されることはほぼないため、フルボディという表現だけの特徴といえるでしょう。

重めの口当たりは含まれる成分の量が多いから

フルボディのワインは、含まれている味や香りの成分が比較的多いのが普通です。 特にアルコール度数の高さや、渋みのもととなるタンニンの量などが多いワインは、フルボディだと表現される可能性が高くなるようです。

また、渋みなどの成分を種や皮からしっかり抽出すると、同時に色素もたくさん移ることになるため、フルボディのワインは色も濃くなりがちです。

ワインの原料となるブドウは、気温が高く日照量の多いところで育ったほうが、より成分量が多くなる傾向があります。

そのため、温暖で緯度の低い国や地域(例えばイタリアスペインチリオーストラリアなど)のワインのほうがフルボディになりやすく、同じくらいの重さ・濃さでも高緯度の産地のものに比べて比較的お手頃な値段で購入できます。

具体的な決まりがないので、フルボディというだけではどんなワインか判断できない

ただし、「この成分がこれだけはいっていたらフルボディ、それより少ないとミディアムボディ」というような、具体的な数値などが決まっているわけではありません。

ワインの口当たりや印象は、単純な成分量だけでなくバランスによっても大きく左右されます。 極端な話、どの成分も平均して濃いワインでも、絶妙なバランスを持っているために飲みやすく重さを感じない、という可能性もあるのです。

人によってボディの感じ方が違う

また、人によってどんなワインを濃い・重いと感じるかも違います。 ある人はアルコールが強いワインを濃厚だと感じるかもしれませんが、他の人は渋みがしっかり感じられなければ度数が高くても濃いとは思わない、と感じるかもしれません。

特にフルボディは成分量の幅が大きく、組み合わせのバリエーションが膨大になるため、他の二つのボディに比べてカテゴリーの範囲が広大です。

渋いのか、酸っぱいのか、アルコールが強いのか、ひと口目のインパクトが大きいのか、他の理由で濃く感じるのか、あるいはいずれかが組み合わさっているのか・・・。

フルボディというだけでは、「何らかの意味で重い印象なんだな」ということ以外何もわからないのとほとんど変わらないとすら言えるでしょう。

フルボディのワインの選び方

フルボディのワインを選ぶときには他の条件を良く見るようにしよう

フルボディと表現されるワインのタイプは多岐に渡るため、知らないワインを選ぶときに「以前フルボディのワインがおいしかったから」というように指針とするのは危険です。

同じフルボディカテゴリのワインなのに、飲んでみるとまったく違う印象を受けるということも珍しいことではなく、それどころか同じ印象をたまたま引き当てることのほうが少ないとすらいえます。

自分にとってどんな特徴を持っているワインが「フルボディ」なのかを知るには、いろいろと飲み比べてみるしかないのです。

また、成分の多いワインはブドウの育て方や使う量、醸造方法などの関係で高価になりやすく、長期熟成にも向くようになることから高級なイメージがあります。

そのため、生産者や販売者が「フルボディ」という表現を使いたがる傾向があり、飲んでみるとそこまでしっかりしていない、どちらかというとミディアムボディというほうが正しい、みたいなワインでもフルボディを名乗っていることがあります。

ワイン選びの際には、ボディタイプはあくまで参考程度にして、生産地や使っているブドウなど他の条件をよく確認したほうが良いといえるでしょう。

フルボディのワインの飲み方

フルボディのワインは常温で飲もう

フルボディのワインの飲み頃温度は15~20度くらい、いわゆる「常温」です。

冷やしすぎたワインは香り成分の一部が揮発しなくなり、味わいも酸味や渋みが強くなってバランスが崩れてしまいます。フルボディのワインが持つ繊細で複雑な香りや、渋みの奥に隠れる深いコクを十分味わうためには、ある程度高めの温度が必要なのです。

常温と言っても、日本の気温でただ室内に置いておくと、おいしく飲める温度の範囲からはずれてしまう可能性が高くなります。

気温が高すぎる・低すぎるときは、冷蔵庫で冷やしておいて飲む1時間から2時間前(室温による)に出すようにすると調整しやすいでしょう。

フルボディのワインは濃厚な食事にあいやすい

どっしりした飲み応えで複雑な風味を持つフルボディのワインは、濃厚な味付けにも押し負けることがありません。

牛肉の煮込みやソースたっぷりのハンバーグ、バターやクリームを多用した料理など、時間と調味料をしっかり使ったメニューと合わせて楽しんでみましょう。

また、高いアルコール度数や強めのタンニンは脂肪分をさっぱりと洗い流すのに一役買ってくれます。脂身の多いステーキ、揚げ物料理、変わったところではチョコレートやケーキなどと組み合わせてみてもいいかも。

逆に、フレッシュなフルーツや生野菜・生魚など、水分量や酸味・渋みのバランスを崩すもの、生っぽい香りのするものは合わない可能性が高くなりますので注意が必要です。

フルボディのワインはじっくりと楽しめるシチュエーションで

成分の量や種類の多いフルボディのワインは、時間をかけてじっくり楽しめる落ち着いたシチュエーションで飲むのが理想です。

優れたフルボディのワインは、口に含んだとき、口の中で転がしたとき、飲み下すとき、その余韻と、タイミングごとに違った味や香りを見せてくれます。

また、ポリフェノールが多く含まれていることから、グラスに注いでもすぐに酸化したり劣化したりせず、時間が経つごとにゆっくり印象が変化していくのを楽しむこともできます。

せっかくの味わいを全て楽しみきれるよう、他の事に意識を取られるような場面や急いで飲んでしまわなくてはいけないようなシチュエーションは避けたほうが良いでしょう。

複数本のワインを開ける場合は、飲み応えがある分短時間で飲むのにはあまり適していないこと、重いものを先に飲むと軽いワインの味が感じにくくなることなどから、順番を白ワインやライト(ミディアム)ボディのワインの後に持ってくるようにしましょう。

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