辛口スパークリングワインとは 「辛口」はカロリー控えめって本当?
記事の目次
辛口スパークリングワインとは
辛口スパークリングワインとは、含まれている糖分が少量、もしくはまったく無く、甘く感じないタイプのスパークリングワインのことです。
ヨーロッパなどの主要なワイン生産国の場合、どれくらいの糖分が残っていたら辛口と呼ばれるかは、(国によって若干異なりますが)ワインの法律によって定められています。
対義語は「甘口スパークリングワイン」。
甘味を感じないため食事との相性が良く、脂肪を洗い流してくれる炭酸の効果もあいまって、基本的に食中酒として飲まれるのが一般的です。
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甘口スパークリングワインについて詳しく知りたい方はこちら
辛口スパークリングワインの造り方
辛口のスパークリングワインは一般的に、炭酸を発生させる発酵が完了した後で少量の糖分を添加する、という手法で造られます。(糖分を一切含まないタイプは、糖分添加を行いません)
ブドウ果汁は、そのままジュースにすると甘すぎるくらい大量の糖分を持っていますが、これはアルコール発酵のためにほぼ使い切ってしまいます。
もしわずかに残っていた分があったとしても、炭酸ガスを発生させるための2回目の発酵で使ってしまうため、わずかに甘味を持たせてバランスをとるためには、最後に糖分を添加する必要があるのです。
辛口スパークリングワインの見分け方
辛口の中にも、甘口すれすれまで糖分を添加してあるものから、糖分の含有量が完全に0というものまで、様々なタイプがあります。
普通のワイン(スティルワイン)の場合、どの程度辛口なのかを事前に知るのはなかなか難しいのですが、幸いなことにスパークリングワインの場合は「どれくらい糖分が含まれるか」を示す表示がついています。
半辛口
含まれる糖分が1リットル当たり12g以上17g未満のワインです。
ラベルには「Extra Dry(エクストラドライ)」「Extra Trocken(エクストラトロッケン)」「Extra Seco(エクストラセッコ)」などの表示があります。
辛口とはいえほのかに甘味が感じられ、比較的誰にでも飲みやすい味わいになっています。
食中酒向きの辛口の中ではめずらしく、単独で楽しむのに向いているカテゴリーと言えそうです。
スパークリングワインの甘口・辛口についてまだ自分の好みが把握できていない方は、ここから始めてみると良いでしょう。
辛口
含まれる糖分が1リットル当たり12g未満のワインです。
ラベルには「Brut(ブリュット)」などの表示があります。
「12g未満」ということは11gでも0gでも同じ表示なるため、銘柄ごとの差が大きくなりがちなカテゴリーですが、平均的には5~7g程度の範囲のものが多いようです。
辛口スパークリングワインの中でもっとも代表的なカテゴリーで、商品数が多いので価格も品質も様々なものから選ぶことができます。
酸味・甘味のバランスが良く、食中酒として大活躍するタイプのスパークリングワインといえます。
極辛口
含まれる糖分が1リットル当たり6g未満のワインです。
ラベルには「Extra Brut(エクストラブリュット)」などの表示があります。
平均的に3g前後の糖分を含みますが、ほとんど甘さを感じないものが多く、これより上のカテゴリーが多少なりと持っていたジュースっぽさがなくなります。
「少しでも甘いお酒は苦手」という方におすすめのスパークリングワインだといえるでしょう。
無糖
含まれる糖分が1リットル当たり3g未満のワインです。
ラベルには「Brut Nature(ブリュットナチュール)」「Non Dose(ノンドセ)」「Dosage Zero(ドサージュゼロ)」「Naturherb(ナトゥーアヘルプ)」などの表示があります。
1~2g程度の糖分なら含まれていてもいいのですが、あえてこのカテゴリーにしてある銘柄は基本的に出荷直前の糖分添加を一切行っていないものが多いようです。
完全な辛口になるので、好みの分かれるカテゴリーとなっており、製品数はあまり多くありません。
辛口スパークリングワインはカロリー控えめ?
「甘い(=糖分量の多い)スパークリングワインに比べて、辛口のスパークリングワインは太りにくい」という意見がありますが、実際にはそこまで大きな差はありません。
確かに、甘口スパークリングワインには辛口に比べて多くの糖分が含まれています。
糖質1gは約4kcalですので、アルコール度数など他の条件がまったく同じであれば、甘口より辛口のほうがカロリーが控えめなのは事実です。
しかし、スパークリングワインに含まれる糖分量はそこまで多いものではありません。
甘口のなかでももっとも糖分の含有量が多い「Doux(ドゥー)」などのカテゴリーでも1リットルあたりの糖分量は50g程度。
糖分を一切含まない無糖の辛口と比べても、1リットルあたりの差は200kcalで、グラス一杯分(125ml)に換算すると、差は25kcalにまで縮まってしまいます。
両極端なカテゴリーで比べてもこの程度なので、一般的な甘口・辛口のカロリーの差はさらに小さくなります。
少なくともダイエットなどに関しては、好きな甘さのワインを選んでも問題ないと言えそうです。
辛口スパークリングワインのおいしい飲み方
しっかり冷やすけど冷やしすぎには注意!
辛口スパークリングワインは、基本的にしっかりと冷やしますが冷やしすぎないようにも気をつける必要があります。
基本的に渋みや甘味がほとんど無く酸味が主体となる辛口は、十分冷やしたときにバランスが取れるように造られています。
温度が高くなるとバランスが崩れてしまうだけでなく、炭酸や香りも発散しやすくなってしまいます。
しかし、温度が下がりすぎると味や香りを感じ取りにくくなるという問題もあります。
糖分の含有量が少ない辛口スパークリングワインの場合は、多少の温度上昇で味がだれてしまう心配も無いので、6~8度くらいになるように調整するのが良いでしょう。
飲み頃の目安として、冷蔵庫や氷を浮かべた水(ワインクーラー)から出した直後ではなく、10~20分ほど温度を戻したくらいが飲み頃になります。
香りを楽しめるタイプのグラスを用意
スパークリングワインというと縦に細長いフルートグラスを連想しがちですが、通常のワイングラスのように香りをためられるタイプの方がよりおいしく飲むことができます。
甘さが控えめで味わいが比較的シンプルになっている辛口スパークリングワインは、甘口よりも香りをしっかり楽しめるタイプのワインです。
しかし、フルートグラスのように細長くて容量の少ないグラスや、口元が広がっているタイプのグラスを使うと、炭酸の発散も手伝ってどんどん香りが抜けていってしまいます。
特にちょっと高級なワインの場合は、その豊かな香りを逃さず楽しむためにも、下のほうが大きく膨らんで口元がすぼまっているタイプのワイングラスをチョイスしてみてください。
想像以上に風味が変化することにきっと驚くはずですよ。
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単独で飲むよりも食事と一緒に楽しむ
辛口スパークリングワインは、ぜひ食事と一緒に楽しんでください。
強い炭酸やはっきりとした酸味は、濃い味付けの料理や油分、脂肪分との相性が良く、ひと口ごとに口の中をさっぱりとリセットしてくれます。
これが甘口のスパークリングワインだと、料理とワイン両方の味が強いため途中で疲れてしまったり、甘味が食べ物の味に干渉してしまったりする可能性があります。
ただし、逆に単独で飲む場合は味わいの強い甘口のほうがおすすめです。
すっきりした味わいの辛口は(高品質なものだと例外もありますが)基本的に口の中が慣れてしまいやすく、食事でアクセントをつけたほうが飲み飽きずに楽しめるはずですよ。
おすすめ辛口スパークリングワイン
初めて飲むなら口当たりの良い「半辛口」
普段からあまり辛口のスパークリングワインを飲まない方であれば、まずは「Extra Dry(エクストラドライ)」や「Extra Seco(エクストラセッコ)」など半辛口の銘柄から試してみましょう。
半辛口は、辛口に分類されるカテゴリーの中ではもっとも糖分の含有量が多いタイプです。
ひと口で「甘い」と感じるほどではありませんが、甘味と酸味のバランスがよく飲みやすいため、はじめてでも口に合いやすいはずです。
このカテゴリーで甘すぎると感じたら、より糖分量の少ない「Brut(ブリュット)」や「Extra Brut(エクストラブリュット)」を、逆にもっと甘いほうが良いと感じたら甘口カテゴリーの「Dry(ドライ)」や「Demi Sec(ドゥミ・セック)」へと移行しましょう。
- ・サンテロ プロセッコ スプマンテ エクストラドライ(Santero Prosecco Spumante Extra Dry)
- ・ルッジェーリ ジュスティーノ B エクストラドライ(Ruggeri Giustino B Extra Dry)
おすすめワイン
ちょっとリッチなおすすめワイン
食中酒に最適なスパークリング「Brut(ブリュット)」
辛口スパークリングの中でもっとも一般的なタイプである「Brut(ブリュット)」は、食事と一緒に楽しむのに最適なワインのひとつです。
ワインは多くが食中酒として発展してきたもので、お互いを引き立てあう組み合わせは「マリアージュ」とも呼ばれます。
ブリュットのスパークリングワインは、そのすっきりとした味わいや強い炭酸から相性の良い料理が多く、様々なマリアージュを楽しめるワインなのです。
- ・ドン・ロメロ カヴァ ブリュット(Don Romero Cava Brut)
- ・コノスル スパークリング ブリュット(Cono Sur Sparkling Brut)
- ・ヴーヴ・クリコ ポンサルダン ブリュット イエローラベル(Veuve Cliquot Ponsardin Brut Yellow Label)
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ちょっと高級な辛口スパークリングで香りを楽しむ
シャンパンやカバなど、高級なタイプの辛口スパークリングワインは味わいだけでなく香りも素晴らしいものが多く造られています。
ドン・ペリニョンがシャンパン製法を発明して以来、スパークリングワインは素晴らしい香りを楽しむお酒として発展してきました。
そして、甘口に比べてシンプルになりがちな辛口は、ワインが持つ複雑で華やかな香りを楽しむのに適したタイプだといえます。
特に使うブドウの品種や製法に厳しい制約のある高級なスパークリングワインは、いつまでもかいでいたくなるような香りを楽しめますよ。
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- ・コヴィデス ゼニウス ブリュット(Covides Xenius Brut)
- ・モエ エ シャンドン ブリュット アンペリアル(Moet & Chandon Brut Imperial)
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