知っておきたいワイン用語

ブショネってなに? ワインの悪臭とコルクの関係

積まれたコルク
記事の目次

ブショネはコルク由来の悪臭のこと

ブショネとは、コルクに含まれる悪臭物質(トリクロロアニソール/TCA)でワインが汚染されてしまった状態のことです。

最近では、「コルクテイント」と呼ばれることもあります。

この状態のワインは汚染の度合によって程度に差があるものの、悪臭を感じておいしく飲むことができなくなってしまいます

悪臭物質はコルクに含まれる成分を微生物が分解することで発生します。

恐ろしいのはその影響力の強さで、なんと25mプール一杯分の水(約500t)にたった0.05mgを溶かすだけでほとんどの人が感じ取れるほど!

微量過ぎてコルクの事前検査では発見することができません。

そのため、安価なテーブルワインから値段がつけられないほど高価値なワインまで、コルクを使用したボトルは全て平等にブショネになる可能性があります。

つまり、何十年も大事に大事に熟成させてきたワインを、満を持して開けたらまさかのブショネ、という事態も普通に起こりうるので、ワイン好きにとってかなり恐ろしいことだといえます。

現在は減少傾向にありますが、それでもコルク栓のワインの100本に1本程度が該当すると言われています。

ブショネのワインは生乾きの洗濯物や湿気たカビの臭い

ブショネの状態になったワインは、濡れたダンボール、生乾きの洗濯物、湿気たカビのような臭いがします。
最初から臭いの特徴だけでブショネだと判断するのはかなり難易度が高いのですが、開けたばかりのワインで、コルクのどこにもカビの姿が見えないのにカビっぽい臭いがする場合は、ブショネである可能性が高いと言えます。

発生しているかどうかは開栓前には見分けられない

開栓前にブショネが起っているワインかどうかを見分ける方法は、残念ながらありません。

小売店で自分で選んで購入する場合はもちろん、レストランなどでプロが選び保管していたワインでさえ、開けてみたらブショネ、という事態が普通に起り得るのです。

ブショネに当たる確立はおよそ1/100。
絶対に引き当てたくない、という場合は、スクリューキャップや代用コルクなど、コルクを使用していないボトルのワインから選ぶしかありません

一方、開けたワインから異臭を感じた場合、それがブショネかどうかを見分ける方法はいくつかあります。基本的には、臭いをかいでその特徴から推測することになりますが、特にコルクを直接嗅いでみて、同じ悪臭が強いようであればブショネの可能性が高まります。

ただ、ブショネではなく実際にカビていた、という可能性もあるので、臭いだけでなく目視でもコルクをよく確認する必要があります。

ブショネが発生していても飲めないわけではない

ブショネが発生していても、そのワインが飲めないわけではありません。

実際、軽微なブショネはプロでもはっきりと見分けることが難しい「違和感」程度として表れていることも多いため、気付かずに飲まれているものも少なくないと推測されています。ちょっとおかしいな、くらいのブショネであれば、そのまま飲んでしまっても健康に影響が出ることはないでしょう。

開栓してからしばらく(数時間~一晩程度)開放状態で放置することで、臭いが軽減するケースもあります。

ただ、TCAには人が香りを感じ取るのを阻害する性質もあるため、ひどい悪臭が発生している場合はもちろん、臭いが感じ取れない程度だとしても、元のワインの魅力は半減してしまっていると言えます。

また、ブショネではなくカビによる汚染の場合、悪臭だけでなく有害な物質が含まれている可能性もあるので、飲むことを選択するなら慎重に見極める必要があります。

ブショネが発生しているワインに当たってしまったら

レストランで出されたワインがブショネだった場合

レストランなどでブショネのワインに当たってしまったら、多くのお店では取りかえてもらうことが可能です。

ちゃんとしたレストランでボトルのワインを注文すると、最初にテイスティングを求められますが、ここでコルクやワイン自体に違和感を覚えたら、サービスしてくれた人に伝えて確認してもらいましょう。異常があれば新しいボトルに交換してもらえるはずです。(好みに合わないなどワインに問題がないケースや、大半を飲んでしまった後での交換はできません)飲食店ではブショネによって一定の割合で発生する交換・廃棄のリスクに対応するため、その分をワインの価格に上乗せして販売しているのです。

逆に言えば、格安居酒屋やワインを小売店価格で提供していることを売りにするお店では、よほどひどいもの以外は対応できない可能性もあるので、高価なボトルを注文するときは事前に一言確認しておいたほうが確実です。

小売店や通販で買ったワインがブショネだった場合

一方、小売店や通販などで買ってきたワインにブショネが発生していた場合は、基本的に自己責任となります。

お店側も販売時点でブショネを見分けることは不可能なので、購入者もそのリスクを理解したうえで買っているとみなされるからです。最近では、購入したばかりで履歴をレシートなどではっきり証明できれば、ものによって返品を受けてくれるケースもあるようですが、それは本来の義務やサービスの範疇ではありません。

ケースバイケースになりますが、どうしても諦めきれないなら、だめもとで販売店に相談してみましょう。

ワインの悪臭の原因はブショネだけじゃない

ワインの悪臭の原因は様々で、ブショネ以外にも

カビ臭

カビ菌が発生していることによる悪臭で、毒性があることも

チオール臭

一部のブドウに含まれる成分が原因で、猫のおしっこやおならに例えられる臭い

ビオ臭

有機栽培ワイン(ビオワイン)の一部が持っている悪臭で、硫黄の臭い、もしくは革を濡らしたような臭いと表現される

などがあり、それぞれ対処の方法が違います。(一部でワインに悪臭が発生することを総じてブショネと説明しているサイトなどもありますが、これは誤用です)

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