フランスの赤ワインの特徴 名実共に世界最高峰の赤ワイン
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名実共に世界トップのワイン生産国、フランス。その赤ワインとなれば、「すごいワインだ」ということは簡単に予想できますね。
でも、それが具体的にどんなワインか、と言われると、うまく説明できない人が多いのではないでしょうか。
奥が深すぎて語りつくせないフランスの赤ワインですが、その特徴を簡単に解説します。
フランスの赤ワインの特徴
「ボルドー」と「ブルゴーニュ」が代表的
フランスには大きく分けても10の有名産地があり、早飲み系から長熟系、ライトボディもあればフルボディもありと、あらゆるタイプの赤ワインが造られています。
そのいずれも重要で良質なワインではあるのですが、その中からあえて代表的なものを選ぶとすれば、「ボルドータイプ」と「ブルゴーニュタイプ」になるのは間違いありません。
ブレンドして調整、長熟型のボルドー
ボルドー地方の赤ワインは、複数のブドウ品種をブレンドして味や香りを調整する、長期熟成タイプのワインです。
イギリスの貴族との取引で成長したボルドー地方では、樽ごと・ボトルごとの品質のばらつきが少なく、味や香りが良い製品を造ることを目的として、ブレンドしてワインを造る技術を発達させてきました。
単一で使うと渋すぎたり酸っぱすぎるブドウでも、うまく組み合わせればそれぞれがバランスを取り合いちょうど良い味わいのワインになりますし、どうしても発生してしまう原料ブドウの質のむらも平均化することができるというわけです。
さらに、単一のブドウを使うよりも多くの要素を組み合わせることができるため、複雑なコクや香りが生まれます。
また、すぐに劣化して価値をなくしてしまうワインではなく、より長期間熟成しておけるワインが重宝されたため、ボルドータイプの赤ワインはボトルに詰めた直後ではなく、数十年後においしさのピークを迎えるようにデザインされているものが多くなっています。
一言でまとめると、ボルドーのワインは「複雑なコクと香りが特徴の長期熟成タイプ」です。
単品であるがまま、すぐにおいしく飲めるブルゴーニュ
ブルゴーニュ地方の赤ワインは、ピノ・ノワールという品種だけを使用し、ブドウ本来の味や香りを楽しめるフレッシュなタイプのワインです。
キリスト教徒が神様に捧げる良質なワインを造るために「良いブドウが育つ畑」を探しながら開拓したブルゴーニュ地方では、できるだけ人間の手を加えず、あるがままでもおいしいワインを造ることを目的にしてきました。
ブドウをブレンドすることはもちろん、畑に水をまくことさえしないで造るそのワインは、その年ごとにまったく違った特徴を持つようになり、同じ畑、同じ生産者のワインでもまったく同じものは二つとありません。
また、ピノ・ノワールというブドウは、畑や天候などの影響を敏感に感じ取って反映する品種です。
良い畑で良い気候にめぐまれて育てば信じられないくらいおいしく、ブドウに適さない畑や気候の中で育てば同じ品種と思えないほどおいしくないワインになります。
ブルゴーニュタイプのワインはありのままでワインにするため、基本的に長い熟成期間を必要としません。
生産者によって数年の樽熟成を行うこともありますが、購入したワインはすぐにおいしく飲むことができるのです。一言でまとめると、ブルゴーニュのワインは「ブドウ本来の味わいと華やかな香りが特徴のフレッシュなタイプ」といえます。
比較的スマートで、複雑な奥深さを持つワインが多い
平均して気温のあまり高くないフランスでは、南の一部の産地をのぞいて完熟タイプの赤ワインはほとんどありません。
ワイン用ブドウは基本的に、強い日照や高い気温などの温暖な環境にあるほどアルコール度数が高い濃厚なワインになり、日照が弱く気温が低いなど寒冷な環境にあるほど酸味が強くてすっきりしたワインになります。
フランスはワインの産地の中では比較的緯度が高く、寒冷な地域に属します。
そのため、例えばオーストラリアやアメリカ南西部などに比べると、ブドウ果汁の濃度由来の果実味やインパクトが控えめになるのです。
ただし、だからといってフランスの赤ワインが味やボディの弱いワインであるというわけではありません。
ブドウの完熟度の低さを補うための栽培・醸造技術が発達しているため、暑い地域の赤ワインとはまた違った複雑で奥深い強さを持っており、それがフランスのワインの大きな魅力のひとつとなっています。
産地や銘柄によって特徴が決まっている
古くから有名産地が多かったフランスでは、関係ないワインが勝手に産地や銘柄を名乗れないように、法律で厳しい条件を定めています。
ヨーロッパの他の地域でも同様の法律はありますが、フランスの場合は条件付けが特に厳格で、新しい試みや工夫が入り込む余地がほとんどないことも珍しくありません。
そのため、産地ごと、銘柄ごとに一定の特徴を持つようになっており、同じ産地・銘柄なのに全然違う印象、ということがほとんどありません。
つまり、産地ごとにどんな特徴があるのかを知っていれば、ある程度イメージ通りのワインを探しやすいということです。
これは消費者にとっては助かりますが、自分の考えを試したい生産者にとっては面倒な縛りとみなされることも多く、特に若い生産者がフランスを飛び出してしまう原因のひとつともなっているようです。
平均して高価なワインが多い
フランスでも安いテーブルワインが造られていないわけではありませんが、平均すると高価なものが多くなっています。
生産者のこだわりが価格に反映されている高品質なワインももちろん多いのですが、フランス産というだけで評価が高くなるため、品質以上に強気な価格設定のワインも存在します。
そのため、高いからといってそれに比例しておいしいとは限らないのが難しいところ。
タイプもまちまちなので、フランスの赤ワインを選ぶにはある程度の知識が必要であるといえます。
フランスの赤ワインに使われるブドウ
フランスの代表的な赤ワイン用ブドウは、現在では世界中で栽培されているメジャーなものが多く、逆に特徴がないとすら言えるラインナップになっています。
カベルネ・ソーヴィニヨン
皮が厚くて果肉が少ないため、渋みの元になるタンニンが非常に多く、長期熟成タイプになるのが特徴のブドウです。
温暖な地域で完熟させると単独でもフレッシュなワインにできますが、フランスの気候だとそこまで熟させることができないため、メルローなど他の柔らかい味わいのブドウとブレンドして使用されます。
フルボディだけど落ち着いた口当たりの赤ワインが飲みたい方にはおすすめです。
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メルロー
柔らかな口当たりの果実味が楽しめるブドウです。
単体ではインパクトに乏しいため、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーなどと組み合わせて使用されます。
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ピノ・ノワール
酸味と果実味、華やかな香りが特徴のブドウです。基本的に単独で使用されます。
環境によって特徴ががらりと変わる気分屋ですが、良い環境の中では他のブドウとはまったくレベルが違うほどの高品質ワインになります。
特筆すべきは、花畑にも例えられるゴージャスな香り。
最高級のものはひと口で一晩香るとすら言われ、世界中で多くの人を夢中にさせています。
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シラー
味も香りも非常に強い、濃厚なブドウです。
タンニンはカベルネ・ソーヴィニヨンに比べると控えめなのですが、それ以外はあらゆる面で強烈で、温暖な産地であるオーストラリアではあえて成分の抽出を抑える手法が取られているほど。
環境によって特徴が変わり、フランスで栽培されたものは胡椒をイメージさせるスパイシーさを持っています。
主に地中海やイタリアに近い南側の地域で使用されていて、単独使用ではなく他の品種とのブレンドが一般的です。
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