チリの赤ワインの特徴 日本でもすっかり定着したお手軽良ワイン
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チリの赤ワインの特徴
高いクオリティと圧倒的なコストパフォーマンスの良さ
チリの赤ワインの最大の特徴といえば、やはりその高いクオリティと圧倒的なコストパフォーマンスの良さでしょう。
チリにはワイン産地としての適性が高い地域が多く、多大な労力やコストをかけずとも質の高いブドウを収穫することができます。
特に赤ワインは、ブドウの完熟度が高まることで糖度があがり、果皮や果肉、種などから得られる成分量も増えるため、よりボディ(飲み応え)のしっかりとしたワインになります。
しかし、コストがヨーロッパなどに比べて低く抑えやすいことや、「新世界」のワインとしてごく最近まであまり注目されていなかったことなどから、基本的に品質に対して価格が非常に低く、コストパフォーマンスに優れる銘柄が少なくないのです。
果実味豊かで飲み応えのしっかりした赤ワインが好きな方であれば、1000円前後のお手頃価格のワインでも驚くほど満足度の高いボトルに出会えるはずです。
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果実味豊かなフレッシュタイプが中心
全体に温暖なチリの赤ワインは、果実味の豊かなフレッシュタイプが多くなっています。
ブドウが収穫までにしっかり完熟できるかどうかは、一般的に産地の気温や日照時間に左右されます。
また、収穫寸前にまとまった雨が降ると果汁が薄まってしまうため、収穫期の天気によっては完熟を待たずに収穫作業に入らざるを得ないケースもあります。
チリの主要なブドウ産地は基本的に温暖で日照時間も長く、しかも収穫期にあたる晩夏から初秋にはほとんど雨が降らないためしっかりと熟したブドウを収穫できます。
結果として、チリ産の赤ワインは味や香りのたっぷりとした、果実味豊かなタイプが主流になっているのです。
また、ヨーロッパの有名産地に比べるとブランド的な価値のあまりないチリでは、どちらかというと「質より量」のワイン造りが一般的です。
そのため、長期間熟成させて飲むような高価値なワインよりも、すぐにおいしく飲めるフレッシュなタイプの赤ワインが圧倒的に多くなっています。
単一品種のブドウを使用したヴァラエタルワインが多い
チリの赤ワインは、複数のブドウ品種をブレンドしたタイプよりも、単一の品種を使用してその特徴を生かした、いわゆる「ヴァラエタルワイン」が主流です。
チリではブドウの完熟度を高めやすく、単一の品種だけでも比較的容易においしいワインを造ることができます。
また、若いうちからおいしく飲めるカジュアルな早飲み系が多いため、複雑なブレンドを行ってバランスをとったり品質を高める必要が薄いともいえます。
チリのヴァラエタルワインは、しっかりと完熟したブドウを使用するため品種ごとの特徴や違いが良く感じられ、ワイン初心者が品種の違いを勉強したりお気に入りのブドウを見つけるのに最適です。
ただ近年では、高級化に伴って長期熟成を前提とした高品質な赤ワインも造られるようになってきており、複数品種のブレンドを行う銘柄も増えてきています。
チリの赤ワインに使用されるブドウ品種
カルメネール(Carménère)
チリを代表する黒ブドウ品種のひとつです。
19世紀のフィロキセラ(害虫)災害の際に絶滅したと思われていましたが、チリでメルローだと思われていた株の一部が実はこの品種だったことが分かり復活しました。
カベルネ系の先祖に当たると考えられている古い品種で、しっかりと完熟させることで濃く深い味わいになります。
カベルネ・ソーヴィニヨンよりは柔らかい口当たりで、チリでは単一で使用されミディアムボディ~軽めのフルボディの赤ワインになっていることが多いようです。
- おすすめワイン
- ・カッシェロ・デル・ディアブロ レセルバ カルメネール(Casillero del Diablo Reserva Carménère)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・コンチャ・イ・トロ テルーニョ カルメネール(Concha y Toro Terrunyo Carmenere)
パイス(Pais)
現地でテーブルワインとして飲まれるような、軽くてカジュアルなワインに多く使用される品種です。
輸出されるワインに単一で使用されることはほとんどありませんが、チリワインの中でも特にお手頃価格な早飲み系赤ワインにブレンドされています。さらに近年では十分手をかけてチリ固有の品種として使用する試みも行われています。
高品質なものは、ピノ・ノワールのような華やかな香りを持つフレッシュな赤ワインになります。
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カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)
現在チリでもっとも多く栽培されている黒ブドウ品種です。
チリではヨーロッパよりも完熟度が高まりやすく、果実味の強い飲みやすいタイプの赤ワインになります。
ただし近年では、他の産地のように長期熟成を前提とした高級赤ワインの原料としても多く使われるようになってきています。
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- おすすめワイン
- ・コノスル レゼルバ・エスペシャル カベルネ・ソーヴィニヨン(Cono Sur Reserva Especial Cabernet Sauvignon)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・タラパカ グラン・レゼルバ・カベルネ・ソーヴィニヨン(Tarapaka Gran Reserva Cabernet Sauvignon)
メルロー(Merlot)
柔らかな口当たりが特徴の黒ブドウ品種です。
カベルネ・ソーヴィニヨンのブレンド用として活躍しますが、チリでは単体でも多く使用されており、やや甘く優しい味わいの果実味豊かな赤ワインになります。
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- おすすめワイン
- ・ブエノス・ディアス メルロー(Buenos Dias Merlot)
シラー(Syrah)
近年チリでの栽培面積が広がりつつある黒ブドウ品種です。
南北に長いチリのどのあたりで栽培されたかで特徴が変わり、フランス風のスパイシーなタイプから、オーストラリア風のフレッシュで濃厚なタイプまで様々な赤ワインが造られています。
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- おすすめワイン
- ・コノスル シングルヴィンヤード シラー(Cono Sur Single Vineyard Syrah)
- ・カッシェロ・デル・ディアブロ レセルバ シラーズ(Casillero del Diablo Reserva Shiraz)
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