カベルネ・ソーヴィニヨンのワインの特徴 高級酒からカジュアルなワインまで
記事の目次
カベルネ・ソーヴィニヨンとは
カベルネ・ソーヴィニヨンは、フランス原産の赤ワイン用黒ブドウです。
登場したのは19世紀と比較的最近ですが、非常に優秀な品種だったため世界中で栽培されるようになり、現在ではもっとも重要な黒ブドウ品種のひとつとなっています。
皮が分厚く種が大きい、小粒の果粒が特徴で、果肉が少ない=果汁の量が少ないため相対的に皮や種の割合が多くなります。
そのため、ワインに溶け出す渋みや色素などの成分量が非常に多くなり、味や色が濃く出るのです。
フランスでは単独で使われることはほとんどなく、メルローなどとブレンドで使用されるのが一般的ですが、アメリカやチリなど温暖な地域ではカベルネ・ソーヴィニヨンだけで造ったワインも多く見られます。
- 関連リンク:メルローのワインの特徴
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインの特徴
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、強い渋みと酸味、そして濃厚な味わいが特徴です。
特にタンニンの多さは群を抜いており、栽培方法や醸造方法によっては、若いうちは渋すぎておいしく飲めなくなるほど。これを利用して、数十年という長期熟成型のワインの原料として多く使用されています。
また、原産国のフランスよりも気温が高くて日照量の多い土地で育てると、華やかな果実味を持った濃厚な赤ワインを造ることも可能です。
近年では、醸造方法によっては早飲み系のフレッシュなタイプも造ることが可能になってきているため、カベルネ・ソーヴィニヨンのワインを選ぶときにはまず、どこで造られたものか、どんなタイプなのかをチェックする必要があるといえるでしょう。
ただ、基本的に種や皮の成分が多くなる品種なので、多くがフルボディ、早飲み系でもミディアムボディくらいの飲み応えがあり、ライトボディのものはほとんどありません。
全体的に、同じフランスの代表品種であるピノ・ノワールと対照的で、比較して語られることが少なくありません。
- ワインのボディについて詳しく知りたい方はこちら
- 関連リンク:ワインのボディって結局何なの?
- :フルボディのワインってどんなワイン?
- ピノ・ノワールのワインについて詳しく知りたい方はこちら
- 関連リンク:ピノ・ノワールのワインの特徴
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインの味
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインの味わいは、「渋味や酸味が強いどっしり系」です。
少ない果汁に皮や種の成分がたくさん溶け出したカベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、赤ワインの特徴をより強調したようなインパクトの強い味を持ちます。
「赤ワインらしい赤ワインが飲みたい!」という欲求にしっかりと応えてくれるワインといえるでしょう。
ただしその分、赤ワインがちょっと苦手、という方は特に好きになれないかもしれません。
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインの香り
カベルネ・ソーヴィニヨンは、ハーブや杉に例えられる独特の清涼感ある香りを持っています。
これは特にフランスなどやや寒冷な気候の産地で育ったものに良く見られ、「高貴な香り」として高く評価されています。
また、長期間の樽熟成を経ているワインは樽の香りもしっかり移るので、より複雑な香りになっているものも少なくありません。
熟成が進むと、チョコレートやシガー、なめし皮など、ちょっとワインとは結びつかないようなニュアンスを持つことも。
注いだ瞬間に膨れ上がってくるような立ち上り方ではなく、グラスを静かに満たしているような穏やかな香り方をし、良く熟成させたものはグラスのどの辺を嗅ぐかで様々に変化する香りを楽しむこともできます。
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインの色
グラスに注いで光にかざしてみても、向こう側をすかして見ることができないほどの濃い色を持ちます。
若いうちは赤紫から真紅ですが、長期間熟成することでオレンジやレンガ色に変化していきます。香りのイメージと同じく、若々しさというよりは落ち着いた美しさを感じられる色と言えるでしょう。
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインが合う料理
濃厚な赤ワインの特徴を持つカベルネ・ソーヴィニヨンのワインには、しっかりとした旨みや濃い味付けの料理が良く合います。
赤身肉のステーキやローストビーフなど、噛み応えのある牛肉の料理が特におすすめ。変わったところではすき焼きなども悪くないでしょう。
チーズならばクリーム系や長期間熟成させたハード系を。ワインと交互にちょっとずつ齧ると、なかなか止められない程のおいしさです。
逆にあわせづらいものとしては、水分の多いフルーツや野菜、お刺身などの生の魚介、臭みの強すぎるチーズなどがあげられます。
初心者にもおすすめのカベルネ・ソーヴィニヨンのワイン
カリフォルニアなど温暖な地域のものがおすすめ
カベルネ・ソーヴィニヨンを単体で使用しているワインを選ぶのであれば、最初はチリやカリフォルニアなど暖かい地域のものがおすすめです。
渋くて複雑な上級者向けのイメージがあるカベルネ・ソーヴィニヨンですが、温暖な地域で十分な日照を浴びて完熟したものは、比較的若いうちからおいしく飲める、果実味のしっかりしたワインになります。
- おすすめワイン
- ・カーニヴォ・ワインズ カーニヴォ カベルネ・ソーヴィニヨン(Carnivor Wines Carnivor Cabernet Sauvignon)
- ・コノスル カベルネ・ソーヴィニヨン レゼルバ エスペシャル(Cono Sur Cabernet Sauvignon Reserva Especial)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・ジラード カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー(Girard Cabernet Sauvignon Napa Valley)
- ・コンチャ・イ・トロ テルーニョ カベルネ・ソーヴィニヨン(Concha Y Toro Terrunyo Cabernet Sauvignon)
ヨーロッパからなら南の国や地域から選んで
逆にフランスを中心としたやや寒冷な地域のものは、はじめのうちはタンニンが強く果実味や香りが感じられにくいものになりがちで、上手に選ばないとがっかりする結果にもなりかねません。
ヨーロッパの有名産地のものにするのであれば、イタリアやスペインなどの緯度が低めの国のほうが失敗が少ないはず。
どうしてもフランスにこだわるなら、ラングドック・ルシヨン地方など南方のものがよいでしょう。
- おすすめワイン
- ・サンソヴィーノ ヴェネト カベルネ・ソーヴィニヨン オーガニック (Sansovino Veneto Cabernet Sauvignon Organic)
- ・オート・リージュ ルージュ(Haute Lige rouge)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・マルケス・デ・グリニョン カベルネ・ソーヴィニヨン(Marques de Grinon Cabernet Sauvignon)
フランスのワインもやや高価でも挑戦する価値がある
ただし、これはフランスの他の地域、例えばボルドー地方などのカベルネ・ソーヴィニヨンのワインがおいしくないという意味ではありません。
むしろ、栽培や熟成の方法を工夫することでじっくりと完熟し、ブレンドによって欠点を補った良質なワインは、温暖な地域で育ったカベルネ・ソーヴィニヨンにはない深いコクや複雑さを持っています。
手間隙がかかるため高価で、かつ高品質な銘柄を選ぶのが難しいという点で初心者向けとはいえませんが、紛れもなくカベルネ・ソーヴィニヨンというブドウの、ひいては赤ワインのひとつの到達点といえるでしょう。
「渋めでも、カベルネ・ソーヴィニヨン、割と好きだよ」という方や、ちょっと高価なワインを試してみたい方は、チャレンジしてみても良いかもしれません。
- おすすめワイン
- ・デスパーニュ パーセル カベルネ・ソーヴィニヨン(Despagne Parcelle Cabernet Sauvignon)
- ・シャトー・ラ・フレイネル カベルネ・ソーヴィニヨン(Chateau La Freynelle Cabernet Sauvignon)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・シャトー・オー・バタイエ(Chateau Haut-Batailley)