知っておきたいワイン用語

ワインの「アロマ」の意味とは 「ワインの香り」だけだと半分だけ正解

ワインの香りを堪能する女性
記事の目次

アロマとはワインが生まれたときに持っている香り

ワイン用語の「アロマ」とは、ブドウ果汁からワインが生まれたその時に、ワインが持っている香りのことです。アロマはさらに、ブドウ果汁が最初から持っていた「第一アロマ」と、発酵中に発生した「第二アロマ」に分けられます。

ちなみに、そのあと樽や瓶内での熟成によって生まれる香りは一般に「ブーケ(ブケ)」と呼ばれます。アロマとブーケは通常対義語のように使われますが、近年ではワインの香り全体を広義のアロマ、ブーケを「第三アロマ」と呼ぶケースもあります。

ブドウ果汁に由来する「第一アロマ」

ブドウ果汁が最初から持っていた香りです。ブドウの品種や育ったときのいろいろな環境条件(テロワール)、熟成度合いなどに左右されます。

ブドウ品種によって大きく変わる部分なので、赤ワインと白ワインでは種類がかなり異なります。果物の香りや花の香り、ハーブの香り、無機物の香りなどで表現されます。

発酵中に発生する「第二アロマ」

ブドウ果汁を発酵させる際に発生する香りです。ワインの発酵に関わる酵母菌や乳酸菌などが生み出す香りと、第一アロマが発酵過程で変化して生まれる香りがあります。

パンやヨーグルトの香りなど発酵が関連している食べ物の香り、きのこの香り、スパイスの香りなどで表現されます。

後天的な香りの「ブーケ(ブケ)」=「第三アロマ」

ワインを熟成させることで生まれる香りです。酵母の残骸やポリフェノールが固まった浮遊物(滓/おり)や樽から移る香りと、第一・第二アロマが変化して生まれる香りがあります。

トーストの香りやバターの香り、カラメルなどお菓子系の香り、ストレートに木の香りなどで表現されます

アロマに含まれる主な香りの表現

ブドウに含まれる香気成分は数百種類もあるとされ、それらの組み合わせによって生み出される香りに至ってはもはや千差万別といえます。

しかし、香りから受けるイメージには共通性があり、いくつかのグループに分類することができます。

花の香り

「スミレの香り」「バラの香り」のような具体的に例えられるもののほか、「白い花の香り」「黄色い花の香り」のようにイメージに委ねられるものもあります。

果物の香り

はっきりした香りは「りんごの香り」「グレープフルーツの香り」と個別に表現されますが、「柑橘系」「ベリー類」のようにカテゴリーでまとめることもあります。

桃」や「オレンジの皮」など意外なものも登場しますが、唯一「ブドウの香り」だけは使われません。(ワインの香りは言ってしまえば全部ブドウの香りなので)

ハーブの香り

いわゆるハーブ類の香りのほか、「(火をつけていない)タバコの香り」「紅茶の香り」「刈草の香り」などもあります。また、意外なところでは「ピーマン」や「トマト」など野菜に例えられる香りも。

スパイスの香り

もっともよく使われるのが「胡椒の香り」で、黒ブドウのシラーの特徴にもなっています。他に「シナモンの香り」「ナツメグの香り」「バニラの香り」などもよく出てきます。

無機物(ミネラル)の香り

白ワインによく使われる表現で、「火打石の香り」が有名です。他に「石灰(チョーク)の香り」「貝殻の香り」などもありますが、こちらはどちらかというと味わいにカテゴリーしたほうがいいかも。

アロマを楽しむには「温度」と「グラス」が重要

ワインを適温にすることでアロマを感じ取りやすくする

ワインのアロマは、基本的に揮発性の香りです。そのため、しっかりと冷やしたワインからはあまり立ち上らず、ある程度温度が高いほうが感じやすくなります。

ただし、あまり温度が上がりすぎると、今度は揮発の勢いが強くなりすぎてしまいます。必要以上に高い温度は味わいのバランスも崩してしまいますので、冷やしすぎず温めすぎない調整が必要です。

目安として、白ワインで5~12度前後、赤ワインで10~20度前後が、味も香りも楽しめる適温といわれています。

ワイングラスにアロマをためてじっくりと楽しむ

どんどん立ち上るアロマは、放っておくとどんどん揮発して逃げていってしまいます。

これを逃さず最大限楽しむのには、ワイングラスが最適です。

タイプによって多少形状が違いますが、ワイングラスは基本的に下部が大きく膨らみ、口元がすぼまった形になっています。この構造によって、ワインから立ち上った香りをグラス内に溜め、余すところなく楽しめるようになっているのです。

「華やかで香りの発散が盛んなタイプ」、「繊細で複雑な香りがゆっくり立ち上るタイプ」など、どんな香りがどうやってあがってくるかによって適するグラスが変わるので、できれば特徴にあったグラスを選べれば良いのですが、普通のグラスからワイングラスに変えるだけでも十分違いを感じられますよ。

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