肉料理に合わせたいワイン 赤ワインだけじゃない肉向きのワイン
記事の目次
肉に合うワインを探す際のポイント
脂肪分と相性が良いワイン
肉の部位やタイプにもよりますが、脂肪分との相性の良いワインは肉に合うワインになりやすいといえます。
皮と肉の間に層を作っていたり赤身肉の中に細かく分布していたりする「脂」は、肉のおいしさを担う重要な要素であり、同時に口の中をこってりさせて、食べ進むごとに料理の味わいを阻害する要素でもあります。
特に動物の脂は魚と違って体温くらいの温度では溶けにくいため、口内に残りやすいのです。
そのため、肉と合わせるワインにはこの脂を流し去り、口内をすっきりさせてくれる要素が求められます。
具体的には、脂肪を流し去ってくれるタンニンや炭酸が多く含まれるワイン、唾液の分泌を促す刺激的な酸味を持つワインなどが該当します。
肉の旨みに対抗できる深い味わい
肉類はしっかりとした旨みを持っているので、それに負けない深い味わいを持つワインを選びましょう。
肉の旨みは主にグルタミン酸などのアミノ酸で、赤身の部分に多く含まれています。
この噛めば噛むほど滲み出てくる肉の旨味に控えめな味わいのワインを合わせてしまうと、せっかくのワインのおいしさが肉の旨味に隠れて感じ取りにくくなってしまう恐れがあります。
また、食べ物とワインの組み合わせ(マリアージュ)を成功させるには、味わいに共通点があることが必須条件です。
肉の旨味をしっかりと受け止められる味わい深いワインは、その旨味という共通点を軸にお互いのおいしさを高めあってくれるはずです。
- 料理とワインのマリアージュについて詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:ワインとのマリアージュとは
よいアクセントとなる酸味・渋味
しっかりとした酸味や渋味は、肉類を食べるときのアクセントとして作用してくれます。
人間の感覚は、同じ刺激ばかりが続くと麻痺してしまうという性質があります。赤身肉の旨味や脂肪の甘みが中心となる肉も、それだけを食べ続けると最初のおいしさを感じ取りにくくなってしまいます。
そこで、酸味や渋味のしっかりしたワインを口に含むことで、新しい刺激によって味覚がリセットされ、次のひと口をまた新鮮な気分で食べることができるのです。
また、フルーツや野菜を使用したソースが合うことからもわかるように、ワインの酸味や果実味は肉料理の味わいの幅を広げてくれる効果もあります。
肉の種類に合わせてワインを考える
「牛肉」には長期熟成タイプやコクありのワインを
牛肉は他の肉類よりも味わいや香りが複雑で、じっくりと味わえるものが多いタイプの肉です。
そのため、ワインも深い味わいを持つ長期熟成タイプの赤ワインや、樽熟成を経たコクあり白ワインなどが合わせやすくなります。
また、霜降りなど脂肪の多い部位の場合は、ガス圧の高い辛口スパークリングワインや、柑橘系の強い酸味を持つ白ワイン、タンニンの多いタイプの赤ワインなども良いでしょう。
おすすめは、チリやオーストラリアなど温暖な産地で造られた果実味豊かな赤ワイン。特にカベルネ・ソーヴィニヨンを主体とするワインは、牛肉を使用した多くの料理と相性が良いはずです。
おすすめワイン
ちょっとリッチなおすすめワイン
- カベルネ・ソーヴィニヨンのワインについて詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:カベルネ・ソーヴィニヨンのワインの特徴 高級酒からカジュアルなワインまで
「豚肉」はコクあり白ワインやあっさりしたロゼと合わせて
シンプルな旨味の豚肉には、香りよりも味わいのしっかりとしたワインが良く合います。
特に、スポーツドリンクの後味のような「ミネラル感」のある白ワインやスパークリングワインは相性抜群です。
白ワインなら比較的寒冷な産地のコクありタイプ、スパークリングならしっかりとした味わいが生まれる「シャンパーニュ(トラディショナル)製法」を採用しているものから選ぶと当たりを引きやすいでしょう。また、あまり濃くないタイプのロゼワインも悪くないようです。
逆に、華やかな香りが特徴のブドウを使用したワイン、しっかり熟成を経た複雑な香味の赤ワインなどはちょっとちぐはぐになってしまう可能性があるかも。
ただし、脂身の多い三枚肉やバラ肉などの場合は、味わいよりも脂質への対処を優先してタンニンや炭酸の強いタイプを選んだ方がいいかもしれません。
- おすすめワイン
- ・ポール・ジャブレ・エネ ヴィオニエ (Paul Jaboulet Aine Viognie)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・ジャム・セラーズ バター シャルドネ(JaM Cellars Wine Butter Chardonnay)
「鶏肉」はすっきり系の白ワインや軽い赤ワインと
肉類の中では脂や旨味の控えめな鶏肉には、同じくさっぱりとしたタイプのワインが最適です。
白ワインなら酸味の強いすっきり系、赤ワインならタンニン控えめでフレッシュなライトボディ~ミディアムボディがおすすめ。
比較的強い香りを持たないタイプの肉なので、シャルドネやピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランなど、香りが特徴のブドウを使用したワインにも合わせやすいはずです。
また、脂身が少ない鶏肉はから揚げなど油を使用した料理に使用することも多いのですが、この場合は柑橘系の刺激的な酸味を持つ白ワインや、辛口のスパークリングワインと相性が良くなります。味や香りが強すぎるワインやタンニンの多い赤ワインなどと合わせると、ワインの陰に隠れて存在感が薄れたり渋味が強調されてしまう恐れもあるので注意しましょう。
- 赤ワインのボディについて詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:ワインのボディって結局何なの?
- 関連記事:ライトボディのワインってどんなワイン?
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- シャルドネ、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランのワインについて知りたい方はこちら
- 関連記事:シャルドネのワインの特徴
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- 関連記事:ソーヴィニヨン・ブランのワインの特徴
- おすすめワイン
- ・コノスル レゼルバ・エスペシャル ピノ・ノワール(Cono Sur Reserva Especial Pinot Noir)
「羊肉」にはスパイスやハーブの香りのワインが最適
人によって好き嫌いが分かれるほど個性的な香りを持つ羊肉には、スパイスやハーブのような香りを持つワイン、そして濃厚な味わいを持つワインを合わせましょう。
シラーやソーヴィニヨン・ブランといった個性的とされているブドウ品種のワインから選ぶという方法でもいいのですが、もっと確実なのが「羊肉をよく食べる地方のワイン」という条件で選ぶこと。フランスで言えばボルドー地方や南西地方、イタリアで言えば南側が該当し、国全体だとオーストラリアやニュージーランドが羊肉の生産で有名です。
ワインはもともと食事と一緒に楽しむ食中酒として発展してきましたので、こうした羊を日常的に食べる地域のワインは必然的に羊肉に合うような特徴になっていることが多いのです。
全体的には、複雑な味わいでタンニンの強いタイプのワインよりも、フレッシュな果実味が感じられるタイプのほうが合いやすいでしょう。
- シラーのワインについて詳しく知りたい方はこちら
- 関連記事:シラーのワインの特徴 暴力的なまでのパンチの強さ!
- おすすめワイン
- ・ウィンダム エステート BIN555シラーズ(Wyndham Estate Bin555 Shiraz)
「ジビエ」には凝縮された濃厚赤ワインで対抗しよう
ジビエには、フランスタイプのシラーやカベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック、カルメネールなど、しっかりしたタンニンと凝縮した果実味のある赤ワインが最適です。
ジビエとは、猪や鹿、鴨、野ウサギなど、野生の獣肉の総称です。鳥も獣も含むため特徴をひとつにまとめることはできませんが、家畜と違って食べ物も生活も管理されていないことから、味や香りに癖のあるものが多くなっています。
そのため、ワインも半端な味わいでは押し負けてしまうため、インパクトの強い濃厚なものを選ぶ必要があるのです。
どれがいいのか迷ったら、ジビエが多く食べられている地域(フランス南部やイタリア北部、オーストラリアなど)のワインから選ぶか、説明書きに「黒胡椒」「スパイス」といった言葉が見られるものを探すと良いでしょう。
基本的には赤ワインが無難なのですが、どうしても白ワインとあわせてみたければ、樽熟成を経た濃いタイプの白ワイン、ブドウ品種としてはゲヴュルツトラミネールやシャルドネなどでチャレンジしてみてください。
- おすすめワイン
- ・ポッジョ・レ・ヴォルピ プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア(Poggio Le Volpi Primitivo Di Manduria)
- ちょっとリッチなおすすめワイン
- ・ファルネーゼ エディツィオーネ チンクエ・アウトークトニ(Farnese Edizione Cinque Autoctoni)